出金が止まる場所は3か所あります

最終更新:2026年10月11日

海外FXの出金は、ブローカーから自分の銀行口座へ一直線に届くわけではありません。多くの場合、あいだに決済業者が1社入ります。bitwallet・STICPAY・Peska・BXONE と呼ばれる、ウォレット型の送金サービスです。

ここを読んでいませんでした。出金が止まりうる場所は、3か所あります。ブローカー、決済業者、日本の銀行。1番目と3番目は読んだので、今回は真ん中の層の規約を原文で読みました。

結論:3か所目は、いちばん情報が少ない

出金が止まりうる場所は、3か所あります

ブローカーから自分の銀行口座まで、お金は3つの層を通ります。どの層にも、相手の側から止められると書いた条項がありました。

1つめブローカー出金を保留できると定めた条項が30社中26社にありました。
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2つめ決済業者(bitwallet・STICPAY・Peska・BXONE)読めた4社とも、残高の制限・出金の保留・アカウントの停止を定めた条項を持っています。契約先の法人を社名まで書いているのは3社、当局の登録簿で照合できたのは1社だけです。
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3つめ日本の銀行読めた5行7本の規定に、「海外FXだから制限する」と書いてあるものはありませんでした。引き金は確認や資料の求め、マネロン対策の2種類です。

真ん中の層が、いちばん情報が少ない場所でした。2社とも日本の資金移動業者の登録一覧に見当たらず、片方は契約先の法人名が規約から読み取れません。

4社の規約を読んで、いちばん驚いたのは条項の中身ではありませんでした。契約相手が誰なのか、という一点です。

社名・住所・登記番号まで出して当局の登録簿で引けた社が1社、法人名と登録番号を規約に書いた社が1社、設立国だけの社が1社、何も書いていない社が1社。同じ層に並んでいるのに、確かめられる手がかりの量が4段階に分かれました。

項目 bitwallet STICPAY Peska BXONE
契約先の法人 記載が見当たりません(「bitwallet Service Group」とのみ) Extimit LTD(登録番号 3-102-945230、コスタリカ) N.BRIGHT NETWORK LTD.(法人番号 BC1341662、カナダ) 社名の記載は「BXONE」だけ(登記番号なし)
所在地・登録番号 利用規約・会社情報・プライバシーポリシーのいずれにも記載なし コスタリカ。登録番号あり 302-540 Lawrence Avenue, Kelowna BC。番地まであり(ただし郵便番号が会社情報と規約で違います) サモア独立国。設立国だけで、住所はなし
どの文書に書いてあるか どこにもありません 利用規約の定義 会社情報 利用規約ではなくプライバシーポリシー1.1
監督当局 記載なし 記載なし FINTRAC(カナダ)の登録簿で照合できました。M22881813、Registered、期限2027-10-23 記載なし
出金の保留 第6条第2項・第14条第3項 3.5(裁量で取引を拒否できる) Closing Peska account(出金承認前に調査する権利) 規約に該当条項が見当たりません
アカウントの停止 第14条第2項・第4項 6.1・6.1.7 規約違反と判断すれば入金・出金・内部送金を止める 規約に該当条項が見当たりません
手数料の変更 各種手数料ページ(規約外) 規約に記載 Fees「予告なく変えられる」 Fees Schedule を規約に取り込むと書いていますが、手数料ページ以外は読めていません
日本の資金移動業者登録 一覧に見当たりません 一覧に見当たりません 一覧に見当たりません 一覧に見当たりません

bitwallet:通知すれば、理由を問わず終了できる

条項から見ます。第6条第2項は「当社が必要と判断した場合には、利用者が出金できるウォレット残高の金額を制限することができる」とし、続けて「利用者の出金を留保することもできる」と書きます。

第14条第2項は、第13条(禁止行為)に違反した場合「またはその可能性があると判断した場合」に、アカウントやサービスの閉鎖・停止・制限ができるとします。第13条の禁止行為には「身元情報・利用者情報の調査への協力拒否」が入っています。

第14条第3項は「利用者が受領する支払の一部または全部を保留することができる」。そして第14条第4項がこうです。

「当社は、利用者に通知を行い、理由を問わず、いつでも、当該アカウントおよび利用者による本サービスの利用を終了することができる」。

「理由を問わず、いつでも」と書いてあります。通知は要る、という形です。そして解除や復旧についての定めは、私が読んだ範囲では見当たりませんでした。

検索では「出金の上限はいくらか」がよく調べられています。規約には具体的な金額が書かれていません。「当社が必要と判断した場合」に制限できる、とだけあります。

bitwallet の契約先法人が、規約から読み取れません

ここが今回いちばん引っかかった点です。利用規約は「bitwallet Service Group(以下「当社」という)」としか書いていません。法人名でも、登記された名称でもありません。

会社情報のページには「弊社は2012年にシンガポールに設立以降」とありますが、正式な法人名・所在地・登録番号・監督当局・ライセンスの記載は見当たりませんでした。プライバシーポリシーも同じで、末尾に「bitwallet Service Group」とあるだけです。

これは、このサイトがブローカー30社に当てている1つめの足切り条件そのものです。「日本居住者の契約先法人が規約に明記されている」。決済業者に同じ物差しを当てると、bitwallet はここで止まります。

サービスが悪いと言っているのではありません。誰と契約しているのかが、公開文書から読み取れない、と言っています。何かあったときに相手を特定できるかどうかが変わります。

bitwalletの金額と日数は、規約ではなく案内ページに書かれています

上の表で「記載が見当たりません」と書いたのは、利用規約の本文に金額と日数の定めがないという意味です。同社はその数字を、規約の外にある案内ページで公開しています。2026-09-25に「各種手数料一覧」「ご利用ガイド」「よくあるご質問」を原文で読み直しました。

出金手数料は、パーソナルおよびビジネスアカウントの銀行口座振込で「各通貨で10USDに相当の金額(国により変動)」。ビジネス/マーチャントアカウントは「事業内容により0.8%~」です。円建ての実額は公開ページに出ておらず、「アカウントログイン後にご確認いただけます」とだけ書かれています。

最低出金額は JPY 1,000/USD 10/EUR 10/AUD 10。取り扱いは円・米ドル・ユーロ・豪ドルの4通貨で、国内送金ではこの4通貨すべての建てで受け付けるとFAQにあります。

日数は、ご利用ガイド「ご出金(銀行口座)」がリクエストの翌営業日に処理、FAQが国内銀行で「通常3営業日(土日祝日を除く)程度」、海外銀行で「10営業日(土日祝日を除く)程度」と書いています。「銀行により着金のお時間が異なります」という但し書きも付いています。

利用者の側で止まる条件も、規約ではなくFAQに置かれています。「本人確認資料、現住所確認資料の承認が完了していない場合、銀行情報の登録はできません」。承認が下りるまで、出金先を登録する画面そのものが出てきません。登録できる口座は「必ずアカウントの名義と同一名義」に限られます。

もうひとつ、出金リクエストから1か月以内にカードでの支払いがあった場合、処理が遅れることがあるという記載がFAQにあります。残高全額を出すときは「出金手数料を引いた金額を出金金額にご入力ください」とされています。

ここで押さえておきたいのは、これがどれも規約の条項ではないということです。手数料一覧と案内ページは、同社が予告なく書き換えられる文書で、第6条第2項の「必要と判断した場合」に金額や日数の上限を与えるものではありません。数字が公開されていることと、その数字が契約上の義務であることは、別のことです。

出金の上限額についてのFAQは、日本語・英語ともURLが404で読めませんでした(2026-09-25)。出金リクエストの締め時間の具体的な時刻も、公開ページには見つけられませんでした。

送金できない国が、手数料ページに並んでいます

手数料ページの注記を読み直していて、もうひとつ見つけました(2026-10-11取得)。「次の送金禁止国の銀行には、送金出来ません。」そのあとに60か国ほどが並びます。

日本は入っていません。ただ、名前を見ていくとロシア・南アフリカ・バングラデシュ・ジョージア・ペルー・カザフスタンのように、制裁国だけではない国が混ざっています。

そして、その直前に一文があります。「状況に応じてリストに含まれていない国も対象となる場合がございます。」——リストに載っていないことは、送れることの保証になりません。

これも規約ではなく手数料ページの注記です。同社が予告なく書き換えられる場所に置かれています。海外に口座を持っている人や、日本以外から使う人には効いてきます。

STICPAY:契約先はコスタリカの Extimit LTD

STICPAY は逆でした。利用規約の定義にこう書いてあります。「”STICPAY” means Extimit LTD (Company Registration No. 3-102-945230), a company incorporated in Costa Rica.」

法人名と登録番号、設立国が明記されています。ここは bitwallet と対照的です。ただし監督当局の記載は見当たりません。登記はあるが、金融当局の監督を受けているとは書かれていない、という形です。

条項は6.1が「we may, at our discretion, suspend or limit access to your Account」。その事由のひとつ6.1.7が「If you refuse to cooperate in an investigation or to provide adequate identity or security information」です。3.5は、不正と認める場合に単独の裁量で取引を拒否できると定めます。

Peska:ここだけ、当局の登録簿で引けました

Peska は会社情報に社名・住所・法人番号を出しています。N.BRIGHT NETWORK LTD.、法人番号 BC1341662、カナダのブリティッシュコロンビア州。4社のなかで、ここまで出しているのはここだけです。

そしてカナダのFINTRAC(金融取引報告分析センター)は、登録簿をCSVで公開しています。17,846行を引いたら、ありました。MSB登録番号 M22881813、状態 Registered、有効期限 2027-10-23。

ただ登録簿と公開ページで3点合いません。会社情報は「2012年10月にカナダで設立」ですが、登録簿の設立日は 2022-01-07。規約が挙げている監督機関は FINTRAC ではなく FCAC(金融消費者庁)。郵便番号が会社情報と規約で違います。入出金方法の横断ページに表で並べました。

FINTRAC は登録簿のページに「Registration with FINTRAC does not indicate that FINTRAC endorses or licenses the business.」と自分で書いています。登録は推奨でも免許でもない。このサイトが金融庁の一覧について毎回書いていることと、同じです。

規約で引っかかったのは2つでした。Fees の「We may change to set all fees without notification.」(手数料は予告なく変えられる)と、Closing Peska account の「If the fee cannot be deducted due to insufficient balance, the balance will be debited in full.」(残高が手数料に足りなければ全額引かれる)。

BXONE:契約先は、利用規約ではなくプライバシーポリシーにありました

利用規約の冒頭に「between you and one of the following parties」と書いてあるのに、当事者の名前が1つも出てきません。全文4,176字を読み直しても、法人名・登記番号・準拠法・管轄のどれもない。

「どこにも書かれていない」と書きそうになりました。このサイトでは否定形を書く前に裏を取り直す決まりです。プライバシーポリシーを開いたら1.1にありました。「a company incorporated in the Independent State of Samoa」——サモア独立国。

書かれているのは設立国だけです。法人名は「BXONE」としかなく、登記番号も住所もありません。bitwallet が「bitwallet Service Group」とだけ書いているのと、情報の量は近いところにあります。横断ページに経緯を書きました。

4社とも、日本の資金移動業者の登録一覧に見当たりません

金融庁が公表している資金移動業者の登録一覧(令和8年8月31日現在、全85業者)を確認しました。bitwallet、ビットウォレット、Extimit、STICPAY、スティックペイ、Peska、ペスカ、N.BRIGHT、ブライト、BXONE、ビーエックスワン。いずれの名称も見当たりません。

Peska はカナダ FINTRAC の登録簿にはありました。そこは確かめられています。ただそれは日本の登録ではありません。日本の資金移動業者の一覧に名前がある、ということとは別の話です。

登録がない=違法である、という意味ではありません。私が確認したのは、この一覧に名前が見当たらないというところまでです。海外の法人が海外の法律のもとで提供しているサービスをどう評価するかは、また別の話になります。

ただ、読者にとって効く違いがひとつあります。日本の登録業者であれば、日本の当局に対する窓口があります。一覧に見当たらない以上、その前提は置けません。この構造は補償基金の対象かで30社について書いたことと同じです。

2026年6月1日から、この層の制度が変わりました

調べていて、いちばん驚いたのがここです。この決済業者という層そのものを対象にした法改正が、すでに施行されています。

令和7年の資金決済法改正です。

改正されたのは資金決済法2条の2。国境を跨ぐ収納代行(クロスボーダー収納代行)が「為替取引」に該当することになりました。

受取人からの委託などで債務者から資金を受け入れ、受取人に引き渡すことで、国内から国外へ、または国外から国内へ資金を移動させる行為です。

日付を並べます。法律の公布が2025年6月13日。政令の公布が2026年5月22日。そして施行が2026年6月1日です。この記事を書いている時点で、すでに3か月以上が経っています。

為替取引に当たれば、日本の資金移動業の登録が必要になります。ただし内閣府令で適用除外の類型が定められていて、銀行や資金移動業者への再委託、エスクロー、プラットフォーム事業者が行うものなど7つが挙げられています。どの業者がどれに当たるかは、外からは分かりません。

金融庁はこの改正について相談窓口を設け、その後終了しています。それだけ照会が来る論点だった、ということです。

施行から3か月。私が確認できたことと、できなかったこと

そこで、いまの状態を見ました。

資金移動業者の登録一覧(令和8年7月31日現在、全84業者)に、bitwallet も STICPAY も見当たりません。施行後に作られた一覧です。

bitwallet のお知らせ一覧(2026年7月30日付まで)にも、この改正への言及が見当たりません。並んでいるのは休業日の案内、システムメンテナンス、銀行入金の手続き変更です。

ここから先は、私には判定できません。適用除外のどれかに当たるのかもしれません。そもそも規制の対象ではないのかもしれません。別の経路に切り替えているのかもしれません。確認できたのは、登録一覧に名前がなく、公開されたお知らせにも説明が見当たらない、というところまでです。

ただ、読者にとって言えることはあります。自分が使っている出金経路が、制度上どう扱われているのかを、公開情報から確かめられない。それが現状だ、ということです。

3つの層は、同じ構造をしていました

並べると、はっきりします。どの層も「確定」ではなく「疑い」や「裁量」で発動します。

  • ブローカー:出金を保留できる条項が、執筆時点で調べた30社のうち26社に。アービトラージでは「疑い」で足りると書く社がある
  • 決済業者:bitwallet 第14条第2項「その可能性があると判断した場合」。STICPAY 6.1「at our discretion」
  • 銀行:「マネー・ローンダリング等への抵触のおそれがあると判断した場合」

3つとも、確定を必要としていません。そして解除について書いているのは、私が読んだ範囲では銀行1行だけでした。銀行側で止まる条項に条文を置いてあります。

つまり「出金拒否された」と書かれた投稿が、3つの層のどこの話なのかは、当人にも分かりません。ブローカーの画面は「送金済み」、ウォレットには残高が見える、でも銀行に着かない。こういう形になりうるからです。読み方は「出金拒否」「詐欺」と書かれた話を、自分で確かめる方法に書きました。

自分が使う経路を確かめる手順

  • いま自分の出金が、何社を経由しているかを数える。ブローカー → ウォレット → 銀行なら3社です
  • そのウォレットの規約で契約先の法人名を探す。見つからなければ、それ自体が記録すべきことです
  • 規約を「停止」「保留」「裁量」「terminate」「suspend」で検索する
  • 解除について書いてあるかを見る。ここがいちばん差の出る場所でした
  • 読んだ日付を控える。規約は改定されます

なお、この記事で取り上げた4社の名前が、執筆時点で調べた30社の公開ページに出てきた数は、bitwallet が8社、STICPAY が5社、Peska が5社、BXONE が2社です(2026-10-10に各社の入出金ページで確認)。社名の一覧は入出金方法の横断ページに置きました。公開ページに名前が出ていたかどうかという数字で、対応していないことの証明にはなりません。自分のブローカーがどこを使うかは、そのブローカーの入出金ページで確認してください。

このページについて

条文は各社の公開ページから取得しました。bitwallet(日本語の利用規約・会社情報・プライバシーポリシー)と STICPAY(日本語ロケールの利用規約)は2026-09-19、Peska(各種手数料・会社情報・Terms & Conditions・AML Policy)と BXONE(Terms of Service・Privacy Policy・Fees・About Us)は2026-10-10です。

金融庁の資金移動業者登録一覧は令和8年8月31日現在(全85業者)を使いました。カナダ FINTRAC の Money Services Business Registry は、同庁が公開しているCSV版(2026-10-10取得、17,846行)です。いずれも全文を控えに取ってあります。

この4社ぶん10本を、規約の変更監視にも登録しました。2026-10-10の自動実行で、Peska 4本・BXONE 3本・STICPAY 1本は取れています。bitwallet の2本だけは、サーバーからの取得が TLS のエラー(cURL error 35)で通りません。ブラウザからは普通に読めるので、ここは手で読み直しています。取れていないものを「監視しています」とは書きません。

bitwallet の各種手数料一覧・ご利用ガイド・よくあるご質問は、規約ではないため別扱いとし、2026-09-25に取得しました。

ここで確認しているのは、規約に何が書いてあるかです。実際に凍結された人がいるかどうかは確認していません。規約は3か月に一度読み直し、変更があれば直して更新履歴に残します。

出金の条件そのものは出金の条件に、ブローカー側の条項は出金が止まる条項、入金の側は入金で止まる4か所にあります。

決済業者の条項も、ブローカーとは別に効きます。ブローカー側だけを同じ基準で見るなら、30社の比較表と4条件を満たした2社にまとめてあります。合格は「おすすめ」という意味ではありません。その理由も、そのページに書いています。