海外FXの利益はどこから伝わるのか

最終更新:2026年10月7日

「海外FXの利益は、税務署に伝わるのか」。検索されている言葉を見ると、知りたいのはここです。推測で答えるつもりはありません。国税庁が公開している資料だけで、どこまで言えるかを書きます。

先に断っておきます。私は税理士ではありません。ここに書くのは公開資料に何が書いてあるかであって、個別の判断ではありません。申告の要否や税額は、税務署か税理士に確認してください。

結論:伝わる経路は、少なくともひとつ確実にあります

国税庁の資料で確認できた経路は2つです。そのうち1つは、ブローカーがどこの国にあるかと関係なく機能します。

経路 誰が出すのか 私の確認
国外送金等調書(100万円超) 日本の金融機関が税務署へ 国税庁の資料で確認
CRS(金融口座情報の自動的交換) 相手国の当局から日本の当局へ 件数は確認。相手国の一覧は確認できず

順番が逆に思われがちです。ブローカーが日本に報告するかどうか、という話ではありません。1つめはあなたが使っている日本の銀行が出します。

経路1:国外送金等調書

国税庁の資料には、こう書かれています。「国外への送金及び国外から受領した送金の金額が100万円を超えるものについて、送金者及び受金者の氏名・住所、取引金額などを記載した調書を、送金等を行った金融機関が税務署に提出するものです」。

根拠は「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」第4条第1項です。条文は金額を直接書かず「政令で定める金額以下のものを除く」としていて、国税庁の資料が100万円超と説明しています。提出の期限は為替取引を行った日の翌月末です。

ここがいちばん大事な点です。調書を出すのはブローカーではなく、日本の金融機関です。ブローカーがセントビンセントにあろうとセーシェルにあろうと、この経路は変わりません。出金が日本の銀行に着いた時点で、経路が存在します。

「海外の会社だから日本に伝わらない」は、この一点で成り立ちません。伝わるかどうかではなく、100万円を超えたかどうかの話になります。

経路2:CRS(金融口座情報の自動的交換)

もうひとつが、国どうしで金融口座の情報を交換する仕組みです。日本は令和4事務年度に、94の国・地域から2,500,664口座の情報を受領しています。提供した側は77の国・地域、651,794口座です。

桁を見てください。200万口座を超えます。これは制度が動いていることを示す数字ですが、あなたの口座が含まれるかどうかは、この数字からは分かりません。

確かめられなかったこと

正直に書きます。日本がどの国・地域から情報を受領しているのか、その一覧を公開資料で見つけられませんでした。

国税庁は「報告対象国」の一覧を公表しています(令和8年報告分)。ただしこれは日本の金融機関が報告する側の一覧で、日本が受け取る相手国の一覧ではありません。方向が逆です。だからこの一覧を「自分のブローカーの国から情報が来るか」の判断に使うことはできません。

つまり、経路2については「あなたのブローカーの国が含まれるか」を私は確認できていません。含まれないと言っているのではなく、公開資料から確定できない、と言っています。

ただ、経路1があるので結論は変わりません。CRSを待つまでもなく、出金は日本の銀行を通ります。

そもそも、いくらから申告が必要か

国税庁のタックスアンサーには、給与所得者で確定申告が必要な人としてこう書かれています。「給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人」。

給与を2か所以上から受けている場合や、給与の年間収入金額が2,000万円を超える人も対象です。

20万円は、利益の額ではなく所得の額です。必要経費を差し引いたあとの数字になります。どこまでが経費になるかは個別の判断なので、ここでは書きません。

国内FXと税率が入れ替わるのは、課税所得330万円のところです

海外FXと国内FXは、課税の仕組みが別です。国内FXは申告分離課税で税率が固定、海外FXは総合課税で、所得が増えるほど税率が上がります。どこで入れ替わるのかを、国税庁の速算表から計算しました。

  • 国内FX(先物取引に係る雑所得等)|所得税15%+復興特別所得税+住民税5%で、合計20.315%の固定
  • 海外FX(総合課税の雑所得)|所得税は5%から45%の累進。これに復興特別所得税2.1%(所得税額に対して)と、住民税の所得割10%が乗ります

この2つを、課税所得の帯ごとに並べるとこうなります。数字は国税庁の速算表から私が計算したもので、公表されている一覧ではありません。

課税される所得金額 所得税率 海外FXの合計(住民税10%込み) 国内FX
1,000〜1,949,000円 5% 15.105% 20.315%
1,950,000〜3,299,000円 10% 20.21%
3,300,000〜6,949,000円 20% 30.42%
6,950,000〜8,999,000円 23% 33.483%
9,000,000〜17,999,000円 33% 43.693%
18,000,000〜39,999,000円 40% 50.84%
40,000,000円以上 45% 55.945%

課税所得が330万円に達したところで、海外FXの税率が国内FXを上回ります。その手前の帯(195万〜330万)では20.21%で、国内FXの20.315%をわずかに下回ります。差は0.105ポイントです。

この「課税所得」は、FXの利益額ではありません

ここを取り違えやすいところだと思います。速算表の区分は、給与など他の所得も合わせた合計から、所得控除を引いたあとの金額です。FXで330万円稼いだかどうかではありません。

給与所得がある人なら、その給与の課税所得にFXの利益が上乗せされます。すでに課税所得が330万円を超えている人は、FXの利益1円目から20%の帯に入ります。

また、表の税率は「追加で1円稼いだときにかかる率」です。速算表には控除額があるので、帯をまたいだ瞬間に全体の税額が跳ね上がるわけではありません。

税率以外にも、2つ違いがあります

  • 繰越控除|国内FXは損失を翌年以後3年内に繰り越せます。海外FXにはこの制度がありません
  • 損益通算の範囲|国内FXは「先物取引に係る雑所得等」の中でのみ通算でき、それ以外の所得とは通算できません。海外FXは総合課税の雑所得なので、通算できる相手が違います

損が出た年の扱いは、このページの後半に書いています。

令和9年から、復興特別所得税の率が変わる見通しです

上の計算は令和8年時点の税率で出しています。国税庁の資料には、令和9年1月1日以後は復興特別所得税の税率が1.1%に引き下げられ、防衛特別所得税(源泉徴収額の1%相当)が併せて源泉徴収される、と書かれています。

率が変われば分岐点も動きます。この表は令和9年分からは計算し直す必要があります。施行の内容が確定したら、このページを直して更新履歴に残します。

なお、ここに書いたのは税率の計算だけです。私は税理士ではなく、どちらを選ぶべきかという判断は書いていません。実際の申告は、自分の所得構成で税務署か税理士に確かめてください。

課税所得330万円の帯で、海外FXの税率が国内FXを上回ります

縦は所得税・復興特別所得税・住民税を足した率、横は課税される所得金額の帯です。令和8年時点の率で、国税庁の速算表の区分から計算しています。

ここで入れ替わる国内FX 20.315%(一律)〜195万〜330万〜695万〜900万〜1800万〜4000万4000万〜海外FX 55.945%15.105%合計税率課税される所得金額
海外FX(総合課税の累進)国内FX(申告分離・一律)

手前の帯(195万〜330万)では海外FXが20.21%で、国内FXの20.315%をわずかに下回ります。差は0.105ポイントです。この「課税所得」はFXの利益額ではありません。給与など他の所得と合算したあとの金額です。

海外FXの税金を計算する:課税所得と利益を入れると、国内FXとの差が出ます

上の表は帯ごとの税率です。自分の金額でいくらになるかは、帯をまたぐと表だけでは出せません。速算表の区分と税率だけを使って、そのままシミュレーションできるようにしました。

海外FXの税額計算機(令和8年時点の率)

所得控除・必要経費・住民税の均等割は入れていません。速算表の区分と税率だけで出した数字で、申告額そのものではありません。私は税理士ではないので、実際の申告は国税庁の資料か税理士にあたってください。

計算しているのは3つです。所得税(帯ごとの税率を積み上げたもの)、復興特別所得税(所得税額の2.1%)、住民税(10%)。この合計と、同じ利益を国内FXで出した場合の20.315%を並べています。

入れていないものもはっきりさせておきます。所得控除も、必要経費も、住民税の均等割も入れていません。入れると前提が増えて、公開されている率だけで出した数字ではなくなるからです。実際の申告額とは一致しません。

私は税理士ではありません。ここで出しているのは、公開されている税率を機械的に当てはめた数字です。申告の判断は国税庁の資料か、税理士にあたってください。令和9年からの率の変更は、ひとつ上の節に書いたとおりです。

自分の場合に何を確かめるか

  • 出金をいくら、いつ、どの銀行で受けたか。100万円を超えた回があるかどうか
  • 契約している法人がどこの国か。規約に書いてあります。補償基金の対象かに30社ぶんの契約先を記録してあります
  • その年の所得がいくらになるか。20万円の線を超えるかどうか
  • 迷ったら税務署か税理士に聞く。ここは私が代わりに判断できる場所ではありません

それと、出金そのものが止まる話は別にあります。日本の銀行の預金規定にも、外為取引を制限できる条項があります。銀行側で止まる条項に読んだ条文を置きました。

損が出た年のことも、先に知っておく

利益が出たときの話をしてきましたが、損が出た年の扱いは国内FXとまったく違います。給与とは相殺できず、翌年にも繰り越せません。国内FXなら3年繰り越せるので、ここを取り違えると計算が狂います。

どこから違いが生まれるのかを海外FXの損失は、繰り越せませんに、国税庁の資料だけで整理しました。他の雑所得とは相殺できます。

このページについて

出典は、国税庁レポート(国外送金等調書の説明、CRSの受領・提供件数)、国税庁「F4-1 国外送金等調書」、国税庁タックスアンサーNo.1900、および「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」第4条第1項です。2026-09-19に確認しました。

制度は改正されます。読み直して変更があれば直し、更新履歴に残します。各社ごとの税金の扱いは、それぞれのブローカー記事に書いてあります。

税金の扱いは、どの会社を使っても変わりません。会社ごとに違うのは規約のほうで、その比較は30社の比較表と4条件を満たした2社にまとめてあります。合格は「おすすめ」という意味ではありません。その理由も、そのページに書いています。