海外FXブローカーのフッターに「アンジュアン」「コモロ」「MISA」といった名前が並んでいることがあります。その発行元について、コモロ中央銀行が2025年12月に公告を出しています。

公告は、いくつかの機関名を挙げて「架空(fictives)」であり「違法に(dans l’illégalité)」活動していると書いています。コモロ財務省のサイトに掲載されているものを読みました。以下、書いてあることをそのまま示します。

コモロ中央銀行の公告(2025年12月10日)

発行はコモロ中央銀行(Banque Centrale des Comores)。掲載元はコモロ財務省(Ministère des Finances du Budget et du Secteur Bancaire)です。名指しされているのは次の5つでした。

  • Mwali International Services Authority(M.I.S.A)
  • Anjouan Offshore Finance Authority
  • Comoros International Banking Authority(CIBA)
  • Anjouan Corporates Services
  • Comoros Services LTD

あわせて、コモロで営業する銀行・金融機関の認可は中央銀行の専管事項である(l’agrément des banques et établissements financiers exerçant aux Comores est de son ressort exclusif)と述べています。公告はさらに、これらの機関と関連法人についてモロニ・ムツァムドゥ・モヘリの検察にすでに告発したと書いています。

出典:COMMUNIQUE DE LA BANQUE CENTRALE DES COMORES SUR L’EXERCICE ILLEGAL D’ACTIVITES BANCAIRES OFFSHORES(コモロ財務省サイト/2026年9月17日確認)

読み違えないための前置き

この公告はオフショア銀行業務の違法な営業について書かれたものです。「この機関が出したFXのライセンスは無効だ」と個別に宣言した文書ではありません。ここを混ぜると、書いていないことを書いたことになります。

言えるのは、次の2点です。発行元とされる機関を、その国の中央銀行が架空だと呼んでいる。そして金融機関の認可権限は中央銀行にあると明言している。ライセンス番号を掲げている側の主張と、この公告は、真正面からぶつかります。

それに、当局の水準がそのまま会社の危険度になるわけでもありません。他の当局と何が違うかはライセンス比較に6当局ぶん並べてあります。

調べた20社のうち、3社が関係します

MYFX Markets

フッターにコモロ連合オフショア金融庁(ライセンス番号 L15835/MYFX)とセーシェル金融庁(SD202)の2つを並べています。

アンジュアンの登録簿(anjouanofa.org)で L15835/MYFX を引くと、有効期限2025年10月3日・NOT ACTIVE と表示されました。セーシェルFSAの資本市場の登録簿では MYFX GROUP LIMITED を Securities Dealer として確認できますが、登録簿にライセンス番号の表示欄がなく、SD202 は照合できていません。

MYFX Marketsの調査記事に詳しく書いています。

IS6FX

グループのライセンスとしてコモロのムワリ国際サービス機構(MISA)を掲げています。保有するのは IS6 Technologies Ltd (Comoros)、番号は T2023309。

ただし、日本居住者の契約先はセントビンセント・グレナディーンの IS6 Technologies Ltd (SVG) です。日本の口座開設フォームがリンクする「利用規約(Comoros)」の第1条が、サービス提供者をこのSVG法人と書いています。フッターに並ぶ5法人のうち、ライセンス番号の記載がないのはこのSVG法人だけでした。

つまりMISAのライセンスを持つ法人と、日本の利用者が契約する法人は別です。IS6FXの調査記事に条項番号つきで書いています。

BigBoss

公式サイトの会社概要に INTERNATIONAL BROKERAGE and CLEARING HOUSE LICENSE(BFX2024045)と記載があります。ただしこれは Big Boss Ltd.(コモロ)のライセンスとして掲載されていて、利用規約上の契約主体である Prime Point LLC のものではありません。

BigBossの調査記事を参照してください。

3社に共通していること

並べてみると、同じ形が出てきます。コモロ系のライセンスを持っているのはグループ内の別法人で、日本の利用者が契約する法人ではない。3社とも、この構造でした。

ライセンス表示を見るときに確かめるのは、番号の有無ではありません。そのライセンスを持っている法人の名前が、自分が契約する法人の名前と一致しているかどうかです。一致しないなら、そのライセンスは自分の口座を守るものではありません。

確かめ方は規約の確かめ方に手順で書いています。契約先法人がどこかは全社比較の表にまとめてあります。

まとめ

コモロ中央銀行は2025年12月10日の公告で、アンジュアン・オフショア金融庁とMISAを含む5つの機関を架空と呼び、違法に活動していると書きました。金融機関の認可は中央銀行の専管事項だとも明言しています。

執筆時点で調べた20社のうち、コモロ系のライセンス表示があるのは3社。いずれも、そのライセンスを持つのは日本居住者の契約先とは別の法人でした。

この記事は、コモロ中央銀行の公告とアンジュアンの登録簿、各社の公開ページと利用規約から書いています。掲載や名指しがあることは、その会社に違法性があると確定したという意味ではありません。このサイトは出金拒否などの被害の有無を確認していません。