しばらく触っていない口座に、残高が少し残っている。その残高は、放っておくと減ります。休眠口座手数料という名前で、毎月引かれていく仕組みが規約に書いてあるからです。

執筆時点で調べた20社の利用規約・顧客契約から、この条項を探しました。金額まで規約に書いてあったのは9社。条項はあるのに金額が書かれていない社が4社、手数料の定め自体が見当たらない社が5社、未確認が2社でした。

いちばん引っかかったのは、金額よりいつから止まったと見なすかのばらつきでした。60日で始まる社と、12か月かかる社があります。同じ「しばらく使っていない」でも、意味が6倍違います。

20社の休眠口座手数料

ブローカー 状態 止まってから 条項と内容(規約から)
AXIORY 金額あり 12か月 12か月間の取引がない場合、残高がゼロになるまで月5ドル(規約 Paragraph 22.1)
XMTrading 条項あり・金額なし 利用規約67条「Dormant and archiving policy」に定めあり。ただし金額と発生条件は規約本文に記載がなく、オンラインプラットフォームで別途公開とされる
FXGT 金額あり 90日 利用規約 第16.9.1条:90日間の無取引で初回20ドル、その後30日ごとに10ドル。残高が10ドル未満の場合は全額を徴収
ThreeTrader 条項あり・金額なし 6か月 規約 第6.4条(d):口座残高が500ドル未満かつ6か月以上未使用の場合、月次の口座維持手数料を課すことがある。金額の記載は見当たらない。
HFM 金額あり 6か月 6か月〜1年 月5ドル/1〜2年 月10ドル/2〜3年 月20ドル/3年超は前年に10ドルずつ加算(顧客契約書27.2条、口座開設契約15条)。残高がゼロになるまで課金されます
EBC Financial Group 規約に記載なし 記載が見当たりません(法的文書4本を確認。顧客契約書が無いため、休眠手数料を定めた条項自体が存在しない)
Axi 金額あり 12か月 12か月間、取引もオープンポジションもない口座に月次で課金。金額は口座通貨ごとに設定(日本円口座は1,000円)。残高がゼロになるとAxiは予告なく口座を閉鎖できると規約2.6条(f)に記載
Tradeview 条項あり・金額なし 180日 金額の定めのある休眠手数料はありません。顧客契約 第13条は、180暦日どの口座にも活動がないと非アクティブとし、その間は取引・入金・出金ができないと規定。未約定注文は削除されることがあり、再開に追加の本人確認資料を求められることがあります。非アクティブのまま1年再開されないと休眠とみなされアーカイブされることがあり、「休眠口座に残った資金はTradeviewが保持することがある」と規定。事前通知の規定はこの条項に見当たりません
TitanFX 条項あり・金額なし 利用規約 第2.27〜2.32条に休眠口座の定義と口座無効化の規定があるが、手数料の金額・発生条件に関する記載は見当たらない
BigBoss 金額あり 120日 120日間口座の利用がない場合、保有口座に対して月額5ドルの口座維持手数料(ガイドライン)。利用規約 第12条には “idle account charges” とあるのみで金額・条件の記載なし
Exness 規約に記載なし 記載が見当たりません
XS.com 未確認 —(この記事の執筆時点では確認できていません)
Vantage Trading 規約に記載なし 90日 手数料の定めは見当たらない(入金ボーナスページは、入金も取引も90日ない口座はアーカイブされ使用不可になると記載)
IS6FX 金額あり 3か月 取引が3か月間ない口座から毎月10ドルを徴収(プロゼロ口座のみ2か月)。毎月1日時点で判定し、JPY口座はその日のUSDJPYレートで換算。さらに、口座へのアクセスが90日間なく、残高がJPY 1,000/USD 10 などの閾値を下回る口座は自動的に解約され、解除・復旧はできない
Milton Markets 金額あり 60日 60日間取引がないと毎月 30USD/30EUR/3,000JPY(規約 第8.5条)。別にヘルプセンターは「30日以上取引・入出金・資金移動がない場合、残っているボーナス・クレジットは自動的に差し引かれ、60日以上取引がない場合は休眠口座として扱われます」とする
Land Prime 金額あり 180日 顧客同意書 第37条。取引・出金・入金・内部振替のいずれもない状態が180日続くと休眠口座と判定し、残っているボーナスとクレジットは自動的に削除。毎月10ドル(残高が10ドル未満の場合は残高の全額)を徴収。残高が10ドル未満の口座は、活動のない90日を経てアーカイブされる
iFOREX 金額あり 12か月 12か月連続で取引活動がない口座は休眠口座。四半期ごとに15ドル、有効保有額が15ドル未満の場合はその全額(顧客契約 第13.3項)。これとは別に第17.7項で、7年連続で取引も活動(ログイン・入金・出金)もない「放置口座」は、30日以上前の書面通知のうえ口座を閉鎖し残高を没収すると規定
WeTrade 規約に記載なし 手数料の定めは見当たらない
EMCTrading 未確認 規約文書が存在しないため確認できません。入出金ページには「入金後の取引が10回に満たない場合の出金には、その都度出金手数料2,000円」との記載あり
MYFX Markets 規約に記載なし —(この記事の執筆時点では確認できていません)

「止まってから」は、休眠と判定されるまでの無取引期間です。判定の対象に入出金や資金移動を含むかどうかは社によって違うので、詳しくは右の欄を読んでください。「状態」はこちらで付けた区分で、規約にこの言葉があるわけではありません。

60日から12か月まで、6倍の開きがあります

いちばん早いのはMilton Marketsの60日です。規約 第8.5条で、60日間取引がないと毎月30USD/30EUR/3,000JPYが課されます。この金額は、調べた9社のなかでいちばん高い水準です。

いちばん遅いのは12か月の3社。AXIORYAxiiFOREXです。AXIORYは月5ドル、Axiは日本円口座で月1,000円、iFOREXは四半期ごとに15ドル。

並べると、金額そのものより起算のタイミングのほうが効くことが分かります。月5ドルでも12か月なら猶予がありますが、月30ドルで60日なら、2か月動かさなかっただけで始まります。

止まると増えていく社があります

HFMは、経過年数で金額が上がる設計です。

  • 6か月〜1年:月5ドル
  • 1年〜2年:月10ドル
  • 2年〜3年:月20ドル
  • 3年超:前年の月額に毎年10ドルずつ加算

出典:HFM 顧客契約書 第27.2条

FXGTも似た形で、90日の無取引で初回20ドル、その後は30日ごとに10ドル(利用規約 第16.9.1条)。残高が10ドル未満なら全額を徴収する、とも書いてあります。AXIORYの第22.1条も「残高がゼロになるまで」月5ドルです。

つまり、この手数料は残高を使い切るところまで設計されている社が複数あります。少額を放置しておけば、いずれ残りません。

条項はあるのに、金額が書かれていない4社

XMTradingTitanFXThreeTraderTradeview休眠口座の条項は置いてあるのに、いくら引かれるのかが規約本文にありません。

XMTradingは利用規約67条に「Dormant and archiving policy」という見出しの条項があります。ただし金額と発生条件は規約本文になく、オンラインのプラットフォームを見に行くことになります。TitanFXは第2.27〜2.32条に休眠口座の定義と口座無効化の規定がありますが、金額の記載は見当たりません。

ThreeTraderの第6.4条(d)は書き方が具体的で、口座残高が500ドル未満かつ6か月以上未使用の場合に、月次の口座維持手数料を課すことがあるとしています。条件は書いてあって、金額だけがありません。

Tradeviewは少し性格が違います。金額の定めのある休眠手数料はなく、顧客契約 第13条で180暦日どの口座にも活動がないと非アクティブとし、その間は取引も入出金もできなくなるとしています。手数料ではなく、凍結で対応する型です。

「追加手数料はありません」と書いてある社にも、あります

HFMの公式FAQは「追加手数料はどのようなものがありますか。」という質問に、「追加の手数料は発生しません。」と答えています。同じ会社の顧客契約書 第27条に、上に書いた休眠手数料があります。

これはHFMの記事で食い違いとして記録している3件のうちの1つです。嘘が書いてあるという話ではなく、公開ページのFAQと契約書が別々に作られていて、突き合わせると合わない、ということです。この種のずれは、休眠手数料のようにFAQで聞かれにくい項目ほど残りやすいと感じています。

手数料の定めが見当たらなかった5社

EBC Financial GroupExnessMYFX MarketsVantage TradingWeTrade

見当たらない、と書けるようにするほうが手間がかかります。あるものを見つけるのは1か所読めば済みますが、無いことを確かめるには、法的文書のページを全部開いて読む必要があるからです。EBCについては法的文書4本を確認しました。そもそも顧客契約書が公開されていないため、休眠手数料を定めた条項自体が存在しません。

Vantage Tradingは手数料の定めこそ見当たりませんが、入金ボーナスのページに入金も取引も90日ない口座はアーカイブされ使用不可になると書かれています。手数料は取らないが、口座は使えなくなる、という設計です。

確認できなかった2社

EMCTradingは、そもそも規約文書が公開されていないため確認できません。入出金ページに「入金後の取引が10回に満たない場合の出金には、その都度出金手数料2,000円」という別の条件が書かれていました。

XS.comはこの項目を記録できていません。条項がないという意味ではなく、私がまだ確かめていない、という意味です。確かめたら表を直して更新履歴に残します。

まとめ

執筆時点で調べた20社のうち、規約に金額まで書いてあったのは9社。いちばん早い社は60日、いちばん遅い社は12か月で、6倍の開きがありました。金額はAXIORYの月5ドルからMilton Marketsの月3,000円まで。複数の社が「残高がゼロになるまで」と書いています。

使わない口座に残高を置いたままにするなら、自分のブローカーが何日で休眠と判定するかだけは、先に見ておく価値があります。表の右の欄に条項番号を入れてあるので、原文で確かめられます。

この記事は各社の利用規約・顧客契約から取った記録をもとにしています。調査基準日は記事ごとに違うので、条項の取得時点は全社比較から各記事で確認してください。規約は3か月に一度読み直し、変更があれば直して更新履歴に残します。