最終更新:2026年10月7日

このページの結論

「スキャルピング可」と案内している10社のうち、8社の規約に、それを拒否または禁止できる条項がありました。両建ては「可」と書かれていても、同一口座内・複数口座間・他社との間で扱いが分かれます。アービトラージは、定義にスキャルピングや両建てを含めている社がありました。

両建て、スキャルピング、アービトラージ。海外FXの口座を開く前に、この3つは「できるかどうか」を先に確かめたい人が多い項目です。EA(自動売買プログラム)を使うなら、なおさら先に見ておく場所になります。ところが公開ページのFAQと利用規約が、同じことを書いていないブローカーがあります。

30社の利用規約と顧客契約を読み、禁止行為の条項を条番号つきで並べました。論点ごとに1ページずつ分けています。公開ページの説明は「ブローカーがそう案内している」という事実として記録し、規約の条文と分けています。

3つの論点

論点 いちばん大きい食い違い
両建て HFMの公式FAQは「全銘柄でヘッジ取引が可能です」。顧客契約書 24.3.3条は複数口座をまたぐ両建てを禁止
スキャルピング IS6FXのFAQは「制限は設けておりません」。利用規約 第7条は scalping を禁止行為に列挙
アービトラージ WeTradeは両建てを「可」としながら、アービトラージの定義に「買いと売りの同時発注」を含める

両建て:「可」と書いてあっても、どの口座とどの口座の間かで変わります

両建ての条項は、3つの層に分かれます。同一口座内か、同じブローカーの複数口座をまたぐか、他社の口座との間か。「両建て可」とだけ書いてあるとき、たいていは1層目のことです。

いちばん大きな食い違いは HFM でした。公式FAQは「全銘柄でヘッジ取引が可能です」。顧客契約書 24.3.3条は、複数口座をまたぐ両建てを禁止しています。同じ会社の中で、層が違えば答えも違います。

そして可否よりも効くのは、証拠金の扱いでした。同一口座内で「可」の13社でも、必要証拠金の計算が違います。Exness はヘッジ時の必要証拠金を0%、Axi は標準の半分、Vantage は顧客契約 第3.7項で完全な両建ての必要証拠金をゼロにできるとしています。

禁止条項ではなく、定義条項のほうに置いている社が5社ありました。禁止行為の一覧だけを読んでも見つかりません。3層の一覧は「両建て可」は、どの口座とどの口座の間ですかに。

スキャルピング:公開ページで「可」と案内している10社の規約を突き合わせました

規約での扱いは4つに分かれました。禁止事項として明記が7社、拒否・制限できる裁量条項ありが16社、禁止の記載が見当たらないのが6社、確認できていないのが1社です。

問題は、公開ページで「可」と案内している10社のほうです。そのうち8社は、規約と食い違っていました。IS6FX のFAQは「制限は設けておりません」としていますが、利用規約 第7条は scalping を禁止行為に列挙しています。

いちばん多いのは、禁止でも許可でもない「拒否・制限できる」という裁量条項です。16社がこれにあたります。可否を調べるより、裁量の条文を読むほうが実際に効きます。社ごとの分類は30社のスキャルピング条項に。この分類は2026-10-02に7社ぶん書き換えました。

アービトラージ:定義が3つの方向に広がっています

いちばん射程が読みにくいのが、この条項です。広げ方に3つの型がありました。手法の名前を取り込む型、注文の出し方を取り込む型、目的で広く括る型です。

Tradeview 顧客契約 第16条は、レイテンシ・アービトラージを「別名スキャルピング」と定義しています。遅延を突く行為と、短時間で売買を繰り返す手法は本来べつのことですが、この条項は同じ語でまとめています。スキャルピングをするつもりの人が第16条を読んで、自分の話だと気づけるかどうか。

WeTrade は両建てを「可」としながら、アービトラージの定義に「買いと売りの同時発注」を含めています。両建てのつもりの注文が、別の条項で拾われる形です。

価格の遅延や執行の遅れを利用する行為に触れているのは17社でした。Land Prime は、手法ではなく道具の側から書いています。遅延やサーバーのエラーを突くために設計されたEA・ロボット・自動売買システムを、列挙に入れています。定義の全文は30社のアービトラージ条項に。

両建て:「可」と書いてあっても、どの口座とどの口座の間かで変わります

両建ての条項は、3つの層に分かれます。同一口座内か、同じブローカーの複数口座をまたぐか、他社の口座との間か。「両建て可」とだけ書いてあるとき、たいていは1層目のことです。

いちばん大きな食い違いは HFM でした。公式FAQは「全銘柄でヘッジ取引が可能です」。顧客契約書 24.3.3条は、複数口座をまたぐ両建てを禁止しています。同じ会社の中で、層が違えば答えも違います。

そして可否よりも効くのは、証拠金の扱いでした。同一口座内で「可」の13社でも、必要証拠金の計算が違います。Exness はヘッジ時の必要証拠金を0%、Axi は標準の半分、Vantage は顧客契約 第3.7項で完全な両建ての必要証拠金をゼロにできるとしています。

禁止条項ではなく、定義条項のほうに置いている社が5社ありました。禁止行為の一覧だけを読んでも見つかりません。3層の一覧は「両建て可」は、どの口座とどの口座の間ですかに。

スキャルピング:公開ページで「可」と案内している10社の規約を突き合わせました

規約での扱いは4つに分かれました。禁止事項として明記が7社、拒否・制限できる裁量条項ありが16社、禁止の記載が見当たらないのが6社、確認できていないのが1社です。

問題は、公開ページで「可」と案内している10社のほうです。そのうち8社は、規約と食い違っていました。IS6FX のFAQは「制限は設けておりません」としていますが、利用規約 第7条は scalping を禁止行為に列挙しています。

いちばん多いのは、禁止でも許可でもない「拒否・制限できる」という裁量条項です。16社がこれにあたります。可否を調べるより、裁量の条文を読むほうが実際に効きます。社ごとの分類は30社のスキャルピング条項に。この分類は2026-10-02に7社ぶん書き換えました。

アービトラージ:定義が3つの方向に広がっています

いちばん射程が読みにくいのが、この条項です。広げ方に3つの型がありました。手法の名前を取り込む型、注文の出し方を取り込む型、目的で広く括る型です。

Tradeview 顧客契約 第16条は、レイテンシ・アービトラージを「別名スキャルピング」と定義しています。遅延を突く行為と、短時間で売買を繰り返す手法は本来べつのことですが、この条項は同じ語でまとめています。スキャルピングをするつもりの人が第16条を読んで、自分の話だと気づけるかどうか。

WeTrade は両建てを「可」としながら、アービトラージの定義に「買いと売りの同時発注」を含めています。両建てのつもりの注文が、別の条項で拾われる形です。

価格の遅延や執行の遅れを利用する行為に触れているのは17社でした。Land Prime は、手法ではなく道具の側から書いています。遅延やサーバーのエラーを突くために設計されたEA・ロボット・自動売買システムを、列挙に入れています。定義の全文は30社のアービトラージ条項に。

30社の内訳

スキャルピング(規約での扱い)

扱い 社数 ブローカー
禁止事項として明記 7社 iFOREX、Tradeview、WeTrade、IS6FX、IC Markets(IC)、HYCM、XS.com
拒否・制限できる裁量条項あり 16社 XMTrading、TitanFX、FXGT、Vantage Trading、Land Prime、MYFX Markets、VT Markets、Traders Trust、FXDD、DecodeFX、TradeQuo、NordFX、HFM、Axi、AXIORY、Tickmill
禁止の記載が見当たらない 6社 BigBoss、EBC Financial Group、ThreeTrader、Exness、Milton Markets、FXCC
確認できていない 1社 EMCTrading

詳しい条文と、公開ページとの突き合わせはスキャルピングのページにあります。

両建て(3つの層)

層 状況
同一口座内 可と明記 13社/条件つきで濫用に当たりうる 7社/禁じる条項が見当たらない 4社/記載が見当たらない 6社(30社。2026年10月2日に引き直し)
同じブローカーの複数口座間 明文で禁止 4社(HFM・IS6FX・XS.com・iFOREX。30社、2026年9月25日時点)
他社の口座との間 明文で禁止 3社(iFOREX・IS6FX・XS.com。30社、2026年9月25日時点)

証拠金の扱い、ゼロカットの適用範囲、定義条項に置かれている5社については両建てのページにあります。

「記載が見当たらない」は「許可されている」という意味ではありません。私が確認した一次資料の範囲で、禁止も許可も明確な記載を見つけられなかった、という意味です。同じように「禁じる条項が見当たらない」も、その行為が認められていると書いてあるわけではありません。

アービトラージ(定義の広げ方)

  • 手法の名前を取り込む——Tradeview 第16条がスキャルピングを別名と定義
  • 注文の出し方を取り込む——WeTradeが買いと売りの同時発注を定義に含める
  • 目的で広く括る——Milton Markets 第24.33条(b)「あらゆる種類のアービトラージ戦略」

9社の列挙内容と、レイテンシに触れている17社はアービトラージのページにあります。

禁止手法の一覧には、ボーナス目的の取引(bonus arbitrage)を名指しで挙げている社もあります。ボーナス側の条件は30社のボーナス規約にまとめました。

「違法」と「規約違反」は、別のことです

「両建ては違法ですか」「スキャルピングは違法ですか」という問いを見かけます。読んだ範囲では、どちらも法律で禁じられているわけではありませんでした。禁止されているとすれば、それは会社との契約の中でです。

違いは、守らなかったときに何が起きるかに出ます。法律の違反なら当局が動きますが、規約の違反で動くのは会社です。金融庁が「違法」と書いているのが誰の行為についてなのかは、金融庁が「違法」と書いているのは、業者の行為についてですで原文から確かめました。このページで並べているのは後者で、各社が自分の契約書に何を書いたかです。

そしてその判断をするのも会社側だと、条文に書かれています。AXIORYの利用規約には、禁止の対象を定義した部分にこうあります。

exploitation of market failures, off market rates or any other abusive technique as determined by AXIORY

最後の「as determined by AXIORY」が、このページ全体に効いてきます。何が濫用的な手法にあたるかを決めるのは、取引した側ではありません。似た書き方は他社にもありました。

条文が、禁止の理由として挙げていること

規約は「禁止する」とだけ書くこともあれば、理由を添えることもあります。理由が書いてある場合、挙がっていたのは取引手法そのものの善悪ではなく、価格や流動性の側の事情でした。

  • 価格の誤り|HFMの Terms of Business(2026年2月版)は、誤った価格が取引の基礎に使われた場合、その取引の内容を修正または取り消す権利を留保すると書いています
  • 流動性提供者の事情|XMTradingの利用規約には、流動性提供者が当社に流動性を提供できない場合、という条件が出てきます
  • 市場の欠陥や場外のレートを突くこと|AXIORY の上の条文。市場の失敗、場外レート、その他の濫用的手法
  • 相場操縦|複数の社が manipulation という語を使っています
  • レイテンシ|通信の遅延を利用する取引を名指ししている社があります

これは語の出現を拾ったもので、全社について「禁止条項の文脈で理由として挙げている」ことまでは確認していません。同じ語が、会社の仕組みの説明として出てくることもあるからです。社数は数えていません。

ここから読めるのは、多くの条文が「取引が速いこと」ではなく「価格が正しくない場面を使うこと」を問題にしているということでした。スキャルピングという語そのものが条文にない社が多いのも、これと整合します。

検知について書いている社があります

「バレるのか」という問いについては、複数口座をまたぐ取引や、他社の口座との間の取引を検知の対象として書いている社があります。3つの層に分けて両建ての条項に並べました。

使っている道具が列挙に入っている社もあります。DecodeFXの第9.7条は、VPS・VPN・TOR・同一IPからの接続・同一端末の使用を19項目の中に並べています。手法ではなく環境が書かれている例です。

該当したとき、利益はどうなるのか

30社のうち26社が、取引の無効化や利益の取消を行える条項を持っています。残る4社のうち、Tickmill・FXCC・HYCM は保存した規約に該当する条項が見当たらず、EMCTrading は規約文書そのものが公開されていないため判定していません。MYFX Markets(顧客契約 第7.18条)と XS.com(クライアントサービス契約 第7.27条)は、その後の読み直しで条項が見つかりました。

書き方には幅があります。「疑い」で足りるとするブローカー(iFOREX、Milton Markets)、「合理的に判断した」場合とするブローカー(Exness)、「単独の裁量で」とするブローカー(Tradeview)、そして顧客が30日以内に決定的な証拠を提出した場合を除くとするブローカー(ThreeTrader 第9.7条(b))。

HFM の顧客契約書 24.4条(h)は「口座を閉鎖し、禁止された取引手法から生じた利益を没収し、当初の入金額を返還する」と書きます。入金額だけが戻る形です。

「EA可」と「あなたのEAが許される」は別です

EAの利用が文書で認められているのは22社、不可が1社、記載が見当たらないのが7社でした(計30社)。ただし「EAを使ってよいか」と「そのEAが行う取引方法が認められているか」は、別に確認する必要があります。

私が3つの論点を調べたときは、1社につき次の順で見ました。EAそのものの可否、自動売買に条件が付いていないか、スキャルピングなど取引手法の側に制限がないか、禁止行為の定義に当てはまらないか、そして規約上ブローカー側に拒否・制限・利益取消などの権限が与えられていないか。

禁止行為の条項は、EAの可否とは別に置かれています。Land Prime は、価格遅延やサーバーのエラーを突くために設計されたEA・スクリプト・プラグインの使用を禁じ、XS.com は価格遅延アービトラージについて「EA・プラグインの使用を含む」と明記しています。

EAの可否そのものはゴールドの取引条件と比較ページに30社ぶん並べています。

この比較で分かること、分からないこと

分かるのは、規約に何が書いてあるかだけです。条項が実際に運用されているか、どの程度の取引で発動するかは分かりません。私は出金拒否や口座凍結の被害を確認したわけではなく、条文を読んだだけです。禁止条項があることは、そのブローカーが危険だという意味ではありません。

契約先法人と足切り判定は比較ページ、監督当局が義務づけていることはライセンス比較にあります。

このページの内容は、各ブローカーの利用規約・顧客契約・公開ページから取ったものです。調査基準日は各ブローカーの記事に記載しています。規約は予告なく改定されます。3か月に一度読み直し、変更があれば各記事の更新履歴に記録しています。

禁止される手法の定義は、社ごとにまるで違いました。その定義の具体性まで含めて絞るなら、30社の比較表と4条件を満たした2社にまとめてあります。合格は「おすすめ」という意味ではありません。その理由も、そのページに書いています。

ご利用にあたって

外国為替証拠金取引は、為替相場の変動により損失が生じるおそれがあります。レバレッジをかけた取引では、預けた証拠金を超える損失が発生する可能性もあります。本記事は調査結果と事実の記録であり、特定のブローカーでの口座開設や取引を推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

本記事に記載した内容は調査基準日時点で確認できたものです。取引条件や規約は予告なく変更される場合があるため、実際のご利用前に必ず公式サイトと利用規約の原文をご確認ください。