免許を持つ法人と契約相手は別です

最終更新:2026年10月7日

「キプロスのライセンスを持っている」「FCA登録がある」。海外FXの比較記事では、よく見かける書き方です。そのライセンスを持っている法人と、日本に住む人が契約する法人が、同じ会社とは限りません。

執筆時点で調べた30社について、日本居住者が投資家補償基金の対象になるかを、規約の契約先法人と当局の登録簿から確かめました。結果は28社が対象外、2社は判定できませんでした。対象になる社は、ありませんでした。

30社の投資家補償基金

ブローカー 日本居住者は補償の対象か 契約先と、別にある法人
AXIORY(アキシオリー) 対象外 日本居住者の契約先は Axiory Global Limited。監督:ベリーズ金融サービス委員会(FSC)。別に L.F. International Investment Limited(キプロス・CySEC) があり、そちらは補償制度の対象ですが、日本居住者の契約相手ではありません
XMTrading(エックスエム) 対象外 日本居住者の契約先は Tradexfin Limited。監督:セーシェル金融サービス庁(FSA)。別に Fintrade Limited(モーリシャスFSC) があり、そちらは補償制度の対象ですが、日本居住者の契約相手ではありません
FXGT(エフエックスジーティー) 対象外 日本居住者の契約先は GT Global Ltd。監督:セーシェル金融庁(FSA)。別に GT Investment Services Ltd(キプロス HE ほか) があり、そちらは補償制度の対象ですが、日本居住者の契約相手ではありません
ThreeTrader(スリートレーダー) 対象外 日本居住者の契約先は ThreeTrader Global Limited。監督:バヌアツ金融サービス委員会(VFSC)
HFM(エイチエフエム) 対象外 日本居住者の契約先は HF Markets (SV) Ltd。監督:なし。別に HF Markets (Europe) Ltd(キプロス HE 277582・CySEC 183/12) があり、そちらは補償制度の対象ですが、日本居住者の契約相手ではありません
EBC Financial Group(イービーシー) 対象外 日本居住者の契約先は EBC Financial Group (SVG) LLC。監督:契約先法人 EBC Financial Group (SVG) LLC は、公式サイ。別に EBC Financial Group (UK) Limited(英国FCA登録) があり、そちらは補償制度の対象ですが、日本居住者の契約相手ではありません
Axi(アクシ) 対象外 日本居住者の契約先は AxiTrader LLC。監督:セントビンセント・グレナディーン諸島 Financial Services Auth
Tradeview(トレードビュー) 対象外 日本居住者の契約先は Tradeview Ltd.。監督:ケイマン諸島金融庁(CIMA)。別に Tradeview Financial Markets S.A.C.(ペルー)ほかグループ法人 があり、そちらは補償制度の対象ですが、日本居住者の契約相手ではありません
TitanFX(タイタンFX) 対象外 日本居住者の契約先は Titan FX Limited。監督:バヌアツ金融サービス委員会(VFSC)。別に EG SERVICES (CY) LTD(キプロス HE430741) があり、そちらは補償制度の対象ですが、日本居住者の契約相手ではありません
BigBoss(ビッグボス) 対象外 日本居住者の契約先は Big Boss Ltd.。監督:コモロ連合(モヘリ島。口座開設フォームがリンクする顧客契約の前文に登記住所の記載)。同時に配信されている別の顧客契約の当事者はセントビンセント・グレナディーンの Prime Point LLC です。別に BigBoss Mauritius Limited(公式サイトの最下部に記載。規約本文には登場しない) があり、そちらは補償制度の対象ですが、日本居住者の契約相手ではありません
Exness(エクスネス) 対象外 日本居住者の契約先は Exness (SC) Ltd。監督:セーシェル金融庁(FSA)
XS.com(エックスエス) 対象外 日本居住者の契約先は XS Ltd。監督:セーシェル金融サービス庁(FSA)
Vantage Trading(ヴァンテージ) 対象外 日本居住者の契約先は Vantage Prime Trading Ltd.。監督:契約先法人の金融ライセンスは確認できない(セントルシアの国際事業会社としての登記のみ
IS6FX(アイエスシックスエフエックス) 対象外 日本居住者の契約先は IS6 Technologies Ltd (SVG)。監督:契約先法人(SVG)には金融ライセンスの記載がない。別に IS6 Cyprus Ltd(HE 459160・リマソール)※公式サイトの最下部に「システム開発」として記載 があり、そちらは補償制度の対象ですが、日本居住者の契約相手ではありません
Milton Markets(ミルトンマーケッツ) 不明 契約先法人が規約に明記されておらず、監督当局の記載も見当たりません。公式サイトの最下部の表記は「Milton Markets Ltd. はセントルシアで登録(登録番号 2023-00166)」とのみ書いています。補償制度の対象かどうか以前に、どの当局の下にあるかが確認できません
Land Prime(旧LAND-FX) 対象外 日本居住者の契約先は Land Prime Ltd。監督:公式サイトの最下部の表記はモーリシャス金融サービス委員会(FSC)の Global Business
iFOREX(アイフォレックス) 対象外 日本居住者の契約先は Formula Investment House Ltd.。監督:英領ヴァージン諸島金融サービス委員会(BVI FSC)。別に Formula Investment House B.O.S Ltd.(イスラエル) があり、そちらは補償制度の対象ですが、日本居住者の契約相手ではありません
WeTrade(ウィートレード) 対象外 日本居住者の契約先は WeTrade International LLC。監督:契約先法人の金融ライセンスは確認できない(有限責任会社としての登記のみ)
EMCTrading(イーエムシートレーディング) 不明 「当社について」は「規制対象の外国為替CFDプロバイダー」、口座開設時の文書は「オフショア当局の認可のもとで運営」と書いていますが、どの当局なのかもライセンス番号も、どこにも書かれていません
MYFX Markets(マイエフエックスマーケッツ) 対象外 日本居住者の契約先は (規約に明記なし)。監督:公式サイトの最下部の表記はコモロ連合オフショア金融庁(ライセンス番号 L15835/MYFX)とセー
VT Markets 対象外 日本居住者の契約先は VT Markets Limited(モーリシャス)。監督:モーリシャス金融サービス委員会(FSC)。別に南アフリカの VT Markets (Pty) Ltd(FSP 50865・仲介者)、キプロスの VT Markets Ltd(HE436466・支払代理店)、ドバイ支店(CMA 20200000299・紹介と販促のみ)があります
Tickmill 対象外 利用条件は「このウェブサイトは日本の居住者向けではない」と明記し、日本居住者向けの契約先法人は示されていません。サイトを運営するのは Tickmill Ltd(セーシェル、SD008)。別にグループの Tickmill UK Ltd(FCA)と Tickmill Europe Ltd(CySEC)があり、補償制度の説明は英国とEUの顧客についてだけです
Traders Trust 対象外 契約先はクライアントサービス契約 1. により Traders Trust Ltd(セーシェル)。別に TTCM Traders Capital Limited(バミューダ、会社番号 54135)と ABS Advanced Backoffice Services Ltd(キプロス、HE406064)がフッターに併記されています
IC Markets(IC) 対象外 契約先は Raw Trading Ltd(セーシェル)。利用規約の冒頭が「IC is the trading name of Raw Trading Ltd」と書いています
FXDD 対象外 規約第1.1条は契約の相手方を商号「FXDD」とだけ書き、登記上の法人名もライセンス番号もなく、登記住所の欄は未記入のプレースホルダーのままです。ベリーズFSCの登録簿(過去分を含め509件)に一致する被免許者はありませんでした
DecodeFX 対象外 契約先は Decode Global Limited(バヌアツ、CN 700415)。監督:バヌアツ金融サービス委員会(VFSC)。別にオーストラリアの Decode Capital Pty Ltd(AFSL 246796)がフッターに並びますが、規約と金融商品開示文書には出てきません
NordFX 対象外 契約先は NordFX Ltd.(セントルシア)で、規制当局の記載がありません。フッターが挙げるモーリシャスFSCのライセンス GB24204016 は別法人のものです
FXCC 対象外 契約先は Central Clearing Ltd。監督:ムワリ国際サービス機構(MISA、コモロ連合モヘリ島)、ライセンス BFX2024085
HYCM 対象外 契約先は HYCM Capital Markets S.R.L.(コスタリカ、法人番号 3-102-883933)。顧客契約30ページの全文に規制当局の名前は出てきません。公開ページが掲げる英国FCA(FRN 186171)とドバイDFSA(F000048)は別法人です
TradeQuo 対象外 顧客サービス契約の脚注に Quo Markets LLC(セントビンセント・グレナディーン)と TQBG Ltd(キプロス、HE438084)が併記され、どちらが契約の当事者かを名指しした条項は見当たりません

投資家補償基金(ICFなど)は、ブローカーが破綻したときに一定額まで顧客の資金を補償する制度です。キプロスや英国など、制度を持つ国の当局に登録した法人だけが対象になります。この表は、制度の対象かどうかだけを見ています。資金が安全かどうかを測るものではありません。

構図は、ほとんどの社で同じでした

10社は、補償制度のある国にグループ法人を持っています。キプロス、英国、モーリシャス。そして日本に住む人が契約するのは、そちらではありません。

  • HFM|日本居住者の契約先は HF Markets (SV) Ltd。別に HF Markets (Europe) Ltd(CySEC 183/12) があります
  • AXIORY|契約先は Axiory Global Limited(ベリーズ)。別に L.F. International Investment Limited(キプロス)があります
  • EBC Financial Group|契約先は EBC Financial Group (SVG) LLC。別に EBC Financial Group (UK) Limited(英国FCA登録)があります
  • TitanFX|契約先は Titan FX Limited(バヌアツ)。別に EG SERVICES (CY) LTD(キプロス)があります

どれも嘘は書いていません。ライセンスは実在します。ただ、そのライセンスを持つ法人と、あなたの契約相手が違うというだけです。

「システム開発」と書いてある例もあります

IS6FX の公式サイトの最下部には IS6 Cyprus Ltd(登録番号 HE 459160)が載っています。ただし肩書きは「システム開発」でした。金融サービスを提供する法人としてではなく、開発を担う法人として書かれています。

BigBoss の BigBoss Mauritius Limited も、公式サイトの最下部には出てきますが規約本文には一度も登場しません。契約の相手は Big Boss Ltd.(コモロ)です。ただし同時に配信されている別の顧客契約では Prime Point LLC(セントビンセント・グレナディーン)になっています。

当局そのものが分からない社が2社あります

Milton Markets は、契約先法人が規約に明記されておらず、監督当局の記載も見当たりません。公式サイトの最下部に「セントルシアで登録(登録番号 2023-00166)」とあるだけです。

EMCTrading は、「規制対象の外国為替CFDプロバイダー」「オフショア当局の認可のもとで運営」と書いていますが、どの当局なのかもライセンス番号も、どこにも書かれていません。補償制度の対象かどうかを確かめる手がかりがないので、判定していません。

これが何を意味するか

補償基金の対象外であることは、その会社が危険だという意味ではありません。海外FXを使うなら、ほぼ全社がこの状態です。珍しい話ではありません。

意味があるのは、会社が破綻したときの受け皿が、契約上は用意されていないということです。だから分別管理や信託保全の書きぶりが効いてきます。そこも社によって差がありました。TitanFX の約款 第2.21条は資金を「信託口座」に預けると書いたうえで、その直後の(a)で「信託口座内の資金は、他の顧客の資金と分けて管理されるものではないこと」への同意を求めています。

当局の水準そのものはライセンス比較に、契約先法人と金融庁の警告書の商号が一致しない件は金融庁の一覧にまとめました。

このページの使い方

確かめているのは、規約に書かれた契約先法人と、当局の登録簿の記載です。実際に破綻したときに何が起きるかを予測するものではありません。

見ておくとよいのは2つです。

  • 自分の契約相手はどの法人か|規約の前文か第1条に書いてあります。公開ページのライセンス表示とは別物です
  • その法人を監督しているのはどこか|当局名とライセンス番号が書かれていない社があります

補償制度の手前に、そもそも規約で資金がどう扱われるかという段があります。所有権が会社に移ると書く社もあり、顧客資金の扱いに条項番号つきで並べました。

各社の調査基準日は、それぞれのブローカー記事に書いてあります。規約は3か月に一度読み直し、変わっていればこのページを直して更新履歴に残します。

補償基金の対象になる社は、30社中ゼロでした。では何で絞るのか。私が使っている4条件の結果は、30社の比較表と4条件を満たした2社にまとめてあります。合格は「おすすめ」という意味ではありません。その理由も、そのページに書いています。