最終更新:2026年10月10日
海外FXの口座を開くときに気にするのはスプレッドですが、実際に困るのは、たいてい出金のときです。
ここでは、執筆時点で調べた30社の公式ページ・利用規約・入出金ポリシーから、出金にかかわる条件を項目ごとに並べています。どれも取得元を添えてあるので、原文で確かめられます。
2026年6月1日に、資金決済法の改正が施行されました。クロスボーダー収納代行を行う事業者に資金移動業の規制が適用されます。規制の名宛人と適用除外の類型は2026年6月1日に施行された法改正で、規制されたのは誰かに、金融庁の資料から整理しました。
出金が止まる3か所
ブローカー・決済業者・銀行の3つに、いずれも会社の側から出金を止められると書いた条項がありました。出金のルールには名義の条件が入っているので、口座を開くときに出す書類の側も並べています。どれかを選ぶと、そこで止まります。条項番号はすべて原文から取っています。
層 1 | ここで止まる
ブローカーの規約
26/ 30社。会社の側から出金を止められる条項がありました(2026年9月)
- A本人確認が終わっていない
TitanFX は KYC の完了を、明示的な保留の条件にしています - B資金の出どころが疑われる
ThreeTrader は「疑われる」段階で留保できると書き、IS6FX はテロ資金供与などの規制リスクを挙げています - C禁止された取引手法とみなされた
Tradeview は禁止行為で得た利益の留保、FXGT は連結口座を含む停止と利益の無効化、Vantage は即時発効の停止・損失回収・利益取消を定めています - D理由を問わない裁量
HFM 7.5 は、裁量でサービスを停止でき、その理由を説明する義務はないと書いています
4つ目がいちばん広い書き方です。A〜C には条件が示されていますが、D には条件がありません。なお、資金の出どころを確かめる仕組みを持つこと自体は、金融機関として異常なことではありません。
規約を確認できなかった会社が3社あります。
解除を決めるのは、止めた側です。期限を書いた条文は、3つの層のどこにも見つかりませんでした。
層 2 | ここで止まる
決済業者の規約
第6条第2項必要と判断した場合、出金できる残高の金額を制限できる(bitwallet)
- 1出金の保留 — 第6条第2項・第14条第3項
違反の「可能性がある」と判断した段階で留保できると読めます - 2アカウントの終了 — 第14条第2項・第4項
「利用者に通知を行い、理由を問わず、いつでも」終了できると書かれています - 3契約先の法人
「bitwallet Service Group」とのみ。所在地・登録番号・監督当局は、利用規約にも会社情報にも記載が見当たりません - 4解除や復旧の定め
読んだ範囲では見当たりませんでした
手数料と日数は規約の外にあります。各種手数料一覧とご利用ガイドには、翌営業日に処理・国内は通常3営業日程度と書かれていますが(2026-09-25 確認)、これは規約の条項ではないので、第6条第2項の裁量に上限を与えるものではありません。
日本の資金移動業者の登録一覧には、見当たりませんでした。
解除を決めるのは、止めた側です。期限を書いた条文は、3つの層のどこにも見つかりませんでした。
層 3 | ここで止まる
銀行の規定
5行の普通預金規定を読み、引き金として書かれていたのは2種類だけでした
- 1確認や資料の求めに応じないとき
三菱UFJ銀行 普通預金規定 第13条第1項/みずほ銀行 第12条第2項/ドコモSMTBネット銀行 第19条第3項(11) - 2「外為取引全般」「無登録の金融商品取引業者」の名指し
入金しない事由として挙げている規定があります。「海外FX」という言葉自体は、どの条文にも出てきません - 3解除の判断
5行とも銀行側の認定にかかります。「当行が判断した場合」「当行が認める場合」。いつまでに判断するかを書いた行は、読めた5行の中にありませんでした - 4期限の代わりに書かれていたもの
三井住友銀行 普通預金規定 11(2)⑤ は、制限が1年以上解消されないときは解約できると書いています
ここはブローカーの規約の話ではありません。着金する側の銀行が、自分の預金規定にもとづいて払戻しや入金を制限できる、という別の層です。
送る側の銀行では、理由を教えてもらえるとは限りません。
解除を決めるのは、止めた側です。期限を書いた条文は、3つの層のどこにも見つかりませんでした。
通る場合
3か所とも通れば、お金は手元に届きます
ふだんはこうなります。このページが並べているのは、止まったときに何が根拠になるか、そして解除を誰が決めるかです。
3つの層に共通していること。
解除を決めるのは、止めた側です。期限を書いた条文は、3つの層のどこにも見つかりませんでした。
出金日数:公式ページの「24時間以内」は、着金までの日数ではありません
公式ページの数字と規約の数字は、そもそも別の区間を測っています。公式ページが書くのはおおむね着金までの目安で、出金方法ごとに幅があります。規約が書くのはおおむね会社が処理するまでの上限で、着金の保証ではありません。
AXIORY が分かりやすい例です。入出金方法ページは「営業日24時間以内に対応」としたうえで、着金を国内銀行送金1〜3営業日、国際銀行送金3〜20営業日と分けて書いています。一方、規約 Paragraph 10.4(e) は「出金申請の時点から最大5営業日」。どちらも嘘ではなく、測っているところが違います。
この「最大◯営業日」を規約に書いていることが、足切り基準(このサイトでいう最低条件です)の1つです。出金の所要日数を具体的に開示していること。社ごとの日数は30社の出金日数に、公式と規約を別の列にして並べました。
出金手数料:「一切請求しません」と書いて、別の文書に25ドルと置く社があります
Axi の公開ページは「いかなる支払い方法においても、入金または出金手数料を一切請求しません」と書いています。同社の Product Schedule は、US$50超または口座全額の出金は無料、それ以外は管理手数料US$25。40ドルを出すと15ドルしか残らない計算になります。
食い違いは、別の文書どうしとは限りません。EMCTrading は1枚のページの中で割れています。出金表は「すべて無料」、同じページのQ&Aは「同一月内2回目以降は2,000円」「入金後の取引が10回未満の出金は都度2,000円」。
iFOREX も似た形です。よくあるご質問は銀行口座への直接出金を1回2,000円とし、価格設定ページは「銀行送金による出金は20ドル」としています。どちらを見たかで、準備する金額が変わります。社ごとの記載は30社の出金手数料に、出どころの文書名まで付けて並べました。
出金方法:入れた方法に、入れた順番で戻すのが原則です
海外FXの出金は、好きな方法を選べる仕組みになっていません。カードで入れた分はカードに戻す、というルールがほぼ全社にあります。マネーロンダリング対策として置かれている条項で、金額の大小とは関係なく効きます。
やっかいなのは順番です。入金額を戻しきるまで、別の方法では出せないと定めている社があります。カード入金が残っている状態で銀行送金だけを使おうとすると、そこで止まります。カードに戻せなくなる期限を置いている社もあります。
社ごとの条項は30社の出金ルールに並べました。2026年9月に追加した10社のうち、DecodeFX だけが、カード返金・名義の条件のどちらも見当たりませんでした。4社は規約側の条項を確認できていません。
そもそも、どの方法が使えるのかも社によって違います。国内銀行送金がある社は30社中10社、方法の名前そのものを公開していない社が4社ありました。入出金方法を30社ぶん並べたページに、bitwallet・STICPAY・Peska・BXONE・暗号資産の対応と、カード出金の期限を書いています。
名義:第三者名義は、ほぼ全社が拒否します
口座の名義と、送金先の名義が一致しないと出せません。家族の口座も、会社の口座も、ここでは第三者です。提出書類の種類を具体的に挙げているのは、執筆時点で調べた30社のうち21社でした。
名義の条件は口座を開くときの書類とつながっています。開設時に通った書類が、出金のときにもう一度効きます。どの書類を求められるかは口座開設は何分で終わるのかに分けて書きました。
出金の保留:会社が止められると定めた条項が、30社中26社にありました
これは異常なことではありません。マネーロンダリング対策として、どこの金融機関にも似た条項があります。ただ、何を引き金にするかは社ごとに違い、裁量の幅も違います。
引き金は4つに分かれます
- 本人確認が終わっていない|TitanFX は KYC の完了を明示的な条件にしています
- 資金の出どころが疑われる|ThreeTrader は「疑いの段階で留保できる」と書いています。IS6FX はテロ資金供与などの規制リスクを挙げています
- 禁止された取引手法とみなされた|Tradeview は禁止行為で得た利益の留保、FXGT は連結口座を含めた停止と利益の無効化、Vantage は Suspicious Trading と判断した場合の停止・損失回収・利益取消を即時発効と定めています
- 理由を問わない裁量|条項そのものに条件が書かれていない社もあります
いちばん直接的に書いているのは Exness でした。日本語の規約にこの条項を置いている社は2社です。残り3社は条項を確認できていません。条文は会社が出金を止められると定めている条項に、社ごとに原文で並べました。
決済業者:bitwallet は、通知すれば理由を問わず終了できると書いています
止まる場所は、ブローカーと銀行だけではありません。あいだに入る決済業者の規約にも、残高を止められると定めた条項があります。bitwallet や STICPAY がこれにあたります。
bitwallet の規約は、通知のうえで理由を問わず契約を終了できるとしています。さらに、契約の相手がどこの法人なのかが、規約から読み取れませんでした。3か所のうち、ここがいちばん情報が少ない層です。詳しくは決済業者の規約に書きました。
銀行:5行の規定に「海外FXだから制限する」とは書かれていません
「海外FXを使うと銀行口座が凍結される」という話をよく見ます。日本の銀行5行・7本の規定を読みましたが、その文言は見つかりませんでした。読めた5行は、書きぶりもほとんど同じでした。
凍結や制限の引き金として書かれていたのは2種類です。そして「外為取引全般」が名指しされている規定と、「無登録の金融商品取引業者」と書いた規定が1本ありました。海外FXそのものではなく、より広い枠で書かれています。
止まったあと解除するかどうかは、読めた5行とも銀行側の判断です。送る側では理由を教えてもらえるとは限りません。条文と、自分の銀行の規定を確かめる手順は海外FXの出金と銀行口座に書きました。
法改正:2026年6月1日に規制されたのは、収納代行を行う事業者です
資金決済法の改正が2026年6月1日に施行され、クロスボーダー収納代行を行う事業者に資金移動業の規制が適用されるようになりました。名宛人は事業者であって、利用者ではありません。適用除外として定められた類型もあります。
調べて意外だったのは、ここです。各社の入出金ページに、この改正への言及が見当たりませんでした。金融庁の資料から、規制の対象と除外の類型を2026年6月1日に施行された法改正で、規制されたのは誰かに整理しました。
ボーナスがある口座から出すと、ボーナスは減るか、消えます
金額とは別に効くものがあります。ボーナスを受け取っている口座から出金すると、ボーナスが減るか、消えます。1円でも出すと全額なくなる社と、出金した割合ぶんだけ減る社に分かれます。
口座間の資金移動を「出金」に数える社もあります。自分では出していないつもりでも、消えることがあるということです。条項つきの一覧は30社のボーナス規約にあります。
どこから見ればよいか
「何日で出せるか」より先に、「そもそも自分の希望する方法で出せるのか」を見たほうが早いことが多いです。カード入金が残っている状態で銀行送金だけを使おうとすると、日数の前に止まります。
入金の段階で止まる条項は、出金とは別に置かれています。こちらは4か所に分かれました。入金で止まる4か所に、カード会社の会員規約まで含めて書いています。
このサイトが確かめていること、確かめていないこと
書いているのは、公開ページと一次資料にどう書いてあるかだけです。出金拒否のような被害があったかどうかは確認していません。噂をどう確かめるかは「出金拒否」「詐欺」と書かれた話を、自分で確かめる方法に分けました。
出金日数は、私が自分で試した実測がまだ1社ぶんしかありません。表には公開されている数字と規約の記載を分けて載せ、実測は実測として別の欄に置いています。他社の数字を推測で埋めることはしません。
調べ方は規約の確かめ方、判断の基準は調査方針と足切り基準に書いています。規約で先に見る条項のほうもあわせてどうぞ。
出金の条件は、4条件のうちの1つです。残り3つと合わせて見るなら、30社の比較表と4条件を満たした2社にまとめてあります。合格は「おすすめ」という意味ではありません。その理由も、そのページに書いています。