
最終更新:2026年10月7日
EAを動かすつもりで海外FXの口座を開くとき、たいていは「EA可」と書いてあるかどうかを見ます。ところが規約を開くと、EAという言葉が一度も出てこない会社のほうが珍しくありません。
執筆時点で調べた30社について、EA(自動売買)の可否がどこにどう書いてあるかを並べました。可と書いてあるのが22社、可否の記載自体がないのが7社、明確に禁止しているのが1社です。どれも条項番号か取得元を添えてあります。
30社のEA可否
| ブローカー | EAの扱い | EAに触れている条項 |
|---|---|---|
| AXIORY(アキシオリー) | 可 | よくあるご質問で可。規約 Paragraph 14.6(a)・30.6 は high-frequency trading and/or latency arbitrage を禁止しており、EAそのものではなく使い方を制限しています |
| XMTrading(エックスエム) | 記載なし | 取引条件・プラットフォーム・口座タイプの各ページにEAの可否の記載が見当たりません。利用規約 9.1.34条は Fraud Traffic の定義に sniping・scalping・arbitrage 等を列挙していますが、ボーナス濫用の文脈です |
| FXGT(エフエックスジーティー) | 記載なし | 利用規約 第2.6条が「arbitrage」「sniping」「scalping」を with the use of automated(自動化された手段を用いて)行うことを禁止。EAの可否そのものは書かれていません。無料VPSプログラムはあります |
| ThreeTrader(スリートレーダー) | 可 | 規約 第9.7条「Price, execution process and Trading Platform manipulation」に9項目。EAを名指しする条項はありません |
| HFM(エイチエフエム) | 記載なし | 顧客契約書 第24.1条はアービトラージとレイテンシーの利用を禁止。EAの可否の記載は見当たりません。無料VPSは3プランあります |
| EBC Financial Group(イービーシー) | 可 | 口座タイプ表でEAの使用と両建てを可と明示。注文執行方針 第6条はボーナス関連の禁止行為のみで、スキャルピングやアービトラージ自体を禁じる条項は見当たりません |
| Axi(アクシ) | 記載なし | 規約の定義条項に Price Latency Arbitrage。EAの可否の記載は見当たりません。/jp/vps は404で、VPSの案内もありません |
| Tradeview(トレードビュー) | 可 | 顧客契約 第15条 System Manipulation は「接続速度などを操作する装置やソフトウェア」を、第16条 Arbitrage はレイテンシ・アービトラージ(別名スキャルピング)を禁止。EA自体は禁じていません |
| TitanFX(タイタンFX) | 可(ただし規約は別) | 公開ページは「スキャルピング、ヘッジ、EAなど取引手法制限なし」。一方、利用規約 第5.10条は「注文(ブラックボックス取引、スキャルピング、または類似の取引方法に関連する注文など)を拒否することができ」と定めています |
| BigBoss(ビッグボス) | 可 | ガイドラインに条件つきで記載。「スキャルピング手法での取引に厳しい制限は設けておりません。但し、注文頻度が膨大な量となり当社サーバーの執行能力に支障を与えると担当部門が判断した場合」は別、としています |
| Exness(エクスネス) | 可 | 顧客契約書 11.1(O) は価格レイテンシーや裁定機会に依拠する行為を、Part C 2.3(A) はシステムや取引プラットフォームの濫用を禁止。EAを名指しする条項はありません |
| XS.com(エックスエス) | 可 | ただし禁止行為の列挙に「価格遅延アービトラージ(EA・プラグインの使用を含む)」とあり、EAが名指しで入っています。使い方次第で該当します |
| Vantage Trading(ヴァンテージ) | 可 | 「Default Event」の定義(第1.3項)に commission churning・sniping・スキャルピング・オフマーケット価格のアービトラージを列挙。EA自体の禁止はありません |
| IS6FX(アイエスシックスエフエックス) | 可 | よくあるご質問で可。利用規約 第12条 Prohibited Use は20項目超を列挙し、「米国雇用統計の発表など経済指標時」の取引にも触れています |
| Milton Markets(ミルトンマーケッツ) | 可 | 利用規約 第24.33条(b)が「クライアントの利益のために取引システムを利用するあらゆる種類のアービトラージ戦略」を禁止し、疑いがある場合は口座閉鎖と初期預金の返還ができるとしています |
| Land Prime(旧LAND-FX) | 可 | ただし顧客同意書の PLATFORM ABUSE の節が「価格遅延・執行遅延・エラー・技術的な弱点を突くために設計されたEA・ロボット・自動売買システム・スクリプト・プラグイン」を名指しで挙げています |
| iFOREX(アイフォレックス) | 不可 | 顧客契約 第7.1.15項。「自動取引・アルゴリズム取引を目的としたソフトウェアの使用、エキスパートアドバイスソフトウェア、自動クリックソフト」を禁止。第7.1.14項はスキャルピングと複数口座・他社間の両建ても禁じています |
| WeTrade(ウィートレード) | 可 | EAを禁じる条項は見当たりません |
| EMCTrading(イーエムシートレーディング) | 記載なし | 公開ページはMT5対応・コピートレード・PAMMを掲げていますが、規約文書そのものが公開されていないため、条項では確認できません |
| MYFX Markets(マイエフエックスマーケッツ) | 可 | EAを禁じる条項は見当たりません |
| VT Markets | 記載なし | 主要事実の概要は、自動売買戦略やエキスパートアドバイザー、コピートレードを取引プラットフォームに接続して使えると書きますが、これは可否ではなくリスクの説明です。会社はそれらを管理していないとしています |
| Tickmill | 記載なし | 38ページの顧客サービス契約に expert advisor・automated・robot のいずれも出てきません |
| Traders Trust | 可 | クライアントサービス契約 15.6 は「expert advisor」やホスティング環境の利用を前提にしたうえで、保証も表明もしないと定めます。同じ条項は、プラグインが電子システムの安定運用に影響する場合に口座を停止または終了できるとも書いています |
| IC Markets(IC) | 可。ただし規約は事前の書面同意を求めています | 利用規約 10.10「Use of any high speed or automated mass data entry system with the Electronic Trading Service will only be permitted with our prior written consent」 |
| FXDD | 可 | 公開ページでEAに触れています。利用規約の側には expert advisor にあたる条項が見当たりません |
| DecodeFX | 可 | MT4の日本語ページが「Expert Advisors(EAs)による自動売買をサポート」と書いています。規約側にEAを名指しした条項は見当たりません |
| NordFX | 可。ただしサーバー負荷を理由に禁止できます | クライアント契約 3.4.7「forbid the use by the Client of expert advisors or completely deny access to the trading platform(s) and the trading account where this creates counterproductive load on the server」 |
| FXCC | 可 | 投資サービス一般条件はリスク開示の文脈で「Trailing Stop and Expert Advisor cannot guarantee the limit of loss」と書くだけで、可否そのものの定めは見当たりません |
| HYCM | 可。ただしHYCMの裁量です | 顧客契約 (j)「The Client may be provided with the facility to use functionality and/or software for automated trading such as ‘Trailing Stops’ and/or ‘Expert Advisor’ at the discretion of HYCM」。推奨も保証もしないと続きます |
| TradeQuo | 可。国別の制限がかかる場合があります | 口座タイプページの注記「Expert Advisor では、Green Mark はこの機能に国別制限が適用される場合があることを意味します」 |
「記載なし」は、探した範囲に可否の記述がなかったという意味です。禁止されているという意味でも、許可されているという意味でもありません。
明確に禁止しているのは1社でした
iFOREX です。顧客契約 第7.1.15項が、「自動取引・アルゴリズム取引を目的としたソフトウェアの使用、エキスパートアドバイスソフトウェア、自動クリックソフト」を禁止行為として挙げています。EAを動かす目的であれば、この口座は選べません。
同じ第7.1.14項では、スキャルピングと、複数口座や他社をまたいだ同一銘柄の両建ても禁じています。取引の制限のページと合わせて読むと、この会社の設計がはっきりします。
「可」でも、条件が付いている社があります
2026年9月に追加した10社を読んで気づいたのは、EAを禁止していなくても、使い方のほうに条件を置いている会社があるということでした。
- IC Markets(IC)|利用規約 10.10 は、高速または自動の大量データ入力システムの使用を事前の書面による同意があるときにかぎり認めると定めています
- NordFX|クライアント契約 3.4.7 は、サーバーに過大な負荷がかかる場合にEAの使用を禁じ、取引口座へのアクセスを完全に遮断できると書いています
- HYCM|顧客契約は、EAの機能を「HYCMの裁量で」提供すると書いています。提供されない場合の条件は書かれていません
- Traders Trust|15.6 は、プラグインが電子システムの安定運用に影響すると会社が判断した場合、口座を停止または終了できると定めます
どれも「EA禁止」とは書いていません。止めるときの理由が、サーバー負荷や同意の有無という形で先に置いてある、という構造です。
手が止まったのは TitanFX でした
公開ページには、こう書いてあります。「スキャルピング、ヘッジ、EAなど取引手法制限なし」。3つの口座すべての特徴欄に「取引手法制限なし」と入っています。
ところが利用規約 第5.10条は、こう定めています。
当社は、注文(ブラックボックス取引、スキャルピング、または類似の取引方法に関連する注文など)を拒否することができ
ブラックボックス取引は、中身の見えない自動売買のことです。公開ページが「制限なし」と言い切っている手法を、規約の側は名指しで拒否できると書いています。これはTitanFXの記事に食い違いとして記録しました。
同じ会社に、もう1件ありました。スプレッドの解説ページは「とりわけ高頻度取引を行うFXトレーダーの皆様は、取引コストに対するスプレッドの影響を実感できるでしょう」と、高頻度取引をする読者に向けて書いています。
一方、利用規約 第5.17条(a)は、適用法違反となる注文の類型として「高頻度取引」を市場操作・ウォッシュトレードと並べて列挙しています。訴求しているものと、規約が違法類型に並べているものが同じでした。
VPSを用意しているのは30社中15社でした
EAを動かす前提として、VPSを自社で用意しているかを30社ぶん確かめました。判定は「自社でVPSの提供・補助を案内しているか」で、解説記事やコラムがあるだけの社は「なし」にしています。
提供あり(15社):TradeQuo、FXDD、IC Markets(IC)、Traders Trust、Land Prime、IS6FX、Vantage Trading、WeTrade、Exness、HFM、FXCC、Tickmill、VT Markets、FXGT、TitanFX
自社提供の案内が見当たらない(14社):HYCM、NordFX、DecodeFX、Milton Markets、XS.com、MYFX Markets、Tradeview、iFOREX、EBC Financial Group、ThreeTrader、Axi、BigBoss、AXIORY、XMTrading
確認できていないのは EMCTrading の1社です。公開サイトマップが取得できず、トップページの本文にもVPSの語が出てきませんでした。
「なし」の数え方には注意が要ります。AXIORY はサイトマップ3,376件のうちVPSを含むURLが「MT4のVPS導入ガイド」1本、EBC Financial Group は64,218件のうち解説記事1本、BigBoss は564件のうちコラム1本でした。どれも外部のVPSの使い方の説明で、自社の提供ではありません。
XMTrading は日本語の公開サイトマップが59ページで、VPSのページはありませんでした(2026-10-03確認)。
提供はしていないが、規約で使用を認めている社があります
HYCM の顧客契約は表明事項(n)で、「EA、取引ロボット、VPN、VPS の使用を、濫用的または操作的な取引に使われない限り認める」と書いています。提供はしていませんが、使ってよいことは規約の側に書いてある形です。
調べた30社のうち、VPSの使用を規約で明示的に許可していたのはこの社だけでした。残りは、提供していても規約には書いていないか、書いていないまま提供もしていないかのどちらかです。
VPSを使っていること自体が、操作の条項に並んでいる社があります
EAを24時間動かすなら、VPSはほぼ前提です。そのVPSの使用が、価格・執行・プラットフォームの「操作」を扱う条項に、列挙のひとつとして入っている社がありました。
DecodeFX の利用規約 第9.7条「PRICE, EXECUTION PROCESS AND TRADING PLATFORM MANIPULATION」です。「当社が次のように信じた場合」という形で(a)から(s)まで19項目が並びます。EAを動かす人に関係するのはこのあたりです。
- (j) 仮想専用サーバー(VPS)または仮想マシンを使用している
- (k) VPN経由で取引している
- (m) TORブラウザまたは類似のサービスを使用している
- (o) アービトラージ、プライスレイテンシー、システム過負荷を使って取引している
- (p) 単一のIPアドレスから複数口座で取引している
- (q) 単一の端末から複数口座で取引している
- (s) スキャルピングのような異例の取引、または取引量の急激で大きな変化を示している
当社がそう信じた場合、単独かつ絶対的な裁量で、通知なく、次のことができると続きます。取引の一部または全部を当初から無効として扱う。疑われる資金を留保する。口座に修正や調整を加える。口座を閉鎖する。
読んでいて引っかかったのは立証責任の向きでした。会社が「信じた」ところから始まり、違反していないことを7日以内に決定的な証拠で示すのは顧客の側です。VPSを使っているかどうかは、会社の側からは見える事実です。
同じ第9.7条が、ThreeTraderにもあります
条番号まで同じなので、同じ雛形だと思います。ただし中身が違います。ThreeTrader の第9.7条には、この19項目の列挙がありません。「価格・執行プロセス・取引プラットフォームを操作したと信じた場合」とだけ書いています。
代わりに効果の側が分かれています。(a)は顧客が当社に支払う結果となる取引は、顧客に対して執行する。(b)は当社が顧客に支払う結果となる取引は、当初から無効として扱う。この非対称は利益取消の条項に記録してあります。立証の猶予は30日で、DecodeFXの7日より長い。
同じ条番号の同じ見出しでも、一方は「誰を疑うか」を19項目に広げ、もう一方は「どちらに転んだ取引を無効にするか」を書き分けています。雛形が同じでも、増やした場所が違います。
最後に、この条項があるからDecodeFXでVPSが使えない、という意味ではありません。同社のMT4の日本語ページは「Expert Advisors(EAs)による自動売買をサポート」と書いています。公開ページは支持し、規約は列挙に入れている。両方が同時に成り立っています。
「EA可」は、EAなら何をしてもよいという意味ではありません
可と書いている22社のうち、条項でEAを名指ししている社が6社あります。
- XS.com|禁止行為の列挙に「価格遅延アービトラージ(EA・プラグインの使用を含む)」
- Land Prime|PLATFORM ABUSE の節に「価格遅延・執行遅延・エラー・技術的な弱点を突くために設計されたEA・ロボット・自動売買システム・スクリプト・プラグイン」
名指ししていない社も、レイテンシー・アービトラージや高頻度取引の禁止条項はたいてい持っています。禁じられているのはEAという道具ではなく、EAで何をするかのほうです。該当すると判断されたときに効いてくるのは利益取消の条項で、30社中26社が持っています。
BigBoss の書き方は、そのあたりを具体的に示しています。「スキャルピング手法での取引に厳しい制限は設けておりません」と書いたうえで、「但し、注文頻度が膨大な量となり当社サーバーの執行能力に支障を与えると担当部門が判断した場合」は別だとしています。判断するのは会社側です。
私自身が使っている口座も「記載なし」でした
このサイトでは、ゴールドのEAを実際に走らせて記録しています。動かしているのは XMTrading の KIWAMI極(デモ口座)です。
その XMTrading が、可否の記載なしでした。日本でEAを動かす人がいちばん多い会社のはずですが、取引条件にもプラットフォームにも口座タイプのページにも、EAを使ってよいと書いた記述を見つけられませんでした。利用規約 9.1.34条に sniping や scalping の列挙はありますが、これはボーナス濫用の文脈です。
禁止されているとは書かれていません。許可されているとも書かれていません。そういう状態だ、ということだけを書いておきます。
このページの使い方
確かめているのは、契約文書と公開ページにどう書いてあるかだけです。実際にEAが止められた例があるかどうかは確認していません。
EAを動かす前に見ておくとよいのは3つだと思っています。
- 可否がどこに書いてあるか|規約か、FAQか、口座タイプ表か。FAQだけの社は、あとから確認しにくくなります
- EAを名指しした禁止条項があるか|「可」と書いてあっても、別の条項で制限されていることがあります
- 判断が誰の手にあるか|「当社が判断した場合」と書いてある社では、基準は事前には分かりません
実際に動かした結果のほうはEAの実測記録に置いています。規約で読むことと、走らせて測ることは別の作業なので、ページも分けてあります。
各社の調査基準日は、それぞれのブローカー記事に書いてあります。規約は3か月に一度読み直し、変わっていればこのページを直して更新履歴に残します。
EAの可否は、規約に書いていない社が多くありました。記載の有無まで含めて絞るなら、30社の比較表と4条件を満たした2社にまとめてあります。合格は「おすすめ」という意味ではありません。その理由も、そのページに書いています。