「GEMFOREXはどうなったのか」。検索されている言葉を見ると、いまも探されているのはこの一点です。私はGEMFOREXに口座を持っていませんでした。だから被害の話はできません。
できるのは、公表されている資料だけを並べることです。金融庁の一覧の記載と、いま公式ドメインに残っている1枚の通知。この2つは私が自分で確認しました。それ以外は報道に基づく二次情報で、区別して書きます。
そしてもうひとつ。この会社の話は、いま動いている20社の読み方を変えます。最後にそこまで書きます。
結論:確認できたことと、確認できなかったこと
先に線を引きます。
私が原文で確認したこと。金融庁の無登録業者一覧に「GEM-TRADE Co.,Ltd」として平成27年(2015年)10月に掲載されていること。旧公式ドメインに、2026年2月15日付の破産手続の通知が1枚だけ残っていること。
確認できなかったこと。その破産手続が実際に始まっているかどうかを、公的な登録簿で裏づけること。清算人が誰なのか。そして、資金が最終的にどうなるのか。どれも公表されていません。
時系列:公表資料で追えるところ
| 時期 | 何が起きたか | 私の確認 |
|---|---|---|
| 2015年10月 | 金融庁の一覧に「GEM-TRADE Co.,Ltd」として掲載 | 原文で確認 |
| 2023年5月31日 | サービス休止を発表。出金が停止 | 報道による二次情報 |
| 2024年1月4日 | 公式サイトが閉鎖 | 報道による二次情報 |
| 時期不明 | 残高が1ドル=1GBONDというトークンの配布に置き換え | 報道による二次情報 |
| 2026年2月15日 | Gemtrade LLC 名義で破産手続の通知が掲示 | 原文で確認 |
掲載から出金が止まるまで、7年半あります。この7年半のあいだ、GEMFOREXは日本の比較サイトで上位に置かれ続けました。
金融庁の一覧には、7年半前から載っていた
掲載名は「GEM-TRADE Co.,Ltd」。ブランド名ではなく法人名で載っています。備考欄にはこう書かれています。「当該業者が提供するサービスの名称は『GEMFOREX』である」。
ここで大事なのは、掲載されていたことが警告として機能しなかったという事実のほうです。7年半、誰も止まりませんでした。
そして逆の話もあります。同じ2015年に掲載された TitanFX と AXIORY は、いまも動いています。同じ一覧の、ほとんど同じ時期の掲載です。
だから「一覧に載っているから危険」は成り立ちません。そして「載っていないから安全」も成り立ちません。執筆時点で調べた20社を法人名まで照合したところ、18社が同じ一覧に載っています。載っていないのは2社だけでした。詳しくは金融庁の警告一覧に載っている業者にあります。
いま公式ドメインに残っている1枚
gemforex.com はいま gemforex.io にリダイレクトされ、その先に通知が1枚だけ置かれています。名義は Gemtrade LLC、日付は2026年2月15日です。
書かれているのは次のことです。セントビンセント・グレナディーン諸島の有限責任会社法(Limited Liability Companies Act, Chapter 151)第66条に基づく破産手続が進んでいること。2023年5月31日のサービス終了によって債務超過に陥ったこと。
そして手続については、資産と未回収債権の評価・集計が終わったあと、選任された清算人が債権者に電子メールで連絡する予定だと書かれています。いまは個別の債権者対応はできない、次の発表はウェブサイトに掲載する、とも。
記載されている住所は Suite 305, Griffith Corporate Centre, Beachmont, Kingstown, St. Vincent and the Grenadines。問い合わせ先の記載はありません。清算人の氏名も出てきません。
確認できなかったこと
ここは正直に書きます。この通知の内容を、外から裏づける方法が見つかりませんでした。
セントビンセント・グレナディーン諸島の金融サービス機構のサイトを見ましたが、一般の人が会社の登録や手続を検索できる公開の登録簿が見当たりません。つまり「第66条の手続が実際に開始されたか」を、私は公的な資料で確認できていません。
通知が嘘だと言っているのではありません。確認する手段が公開されていない、と言っています。この2つは違います。書けるのは「そう書かれた通知が、その場所に置かれている」というところまでです。
清算人からの連絡が実際に行われたのか、資金がいくら戻るのか、いつ終わるのか。いずれも公表されていません。
ここから、いま動いている20社について言えること
この件をここに置いているのは、過去の話としてではありません。同じ構造が、いまの20社にもそのままあるからです。
ひとつめ。契約先の法人がどこの国のどの法人か。Gemtrade LLC はセントビンセント・グレナディーン諸島の法人でした。手続も、その国の法律で進みます。日本の制度は関与しません。
ふたつめ。投資家補償基金です。執筆時点で調べた20社のうち、18社が対象外、2社は当局の記載そのものが見当たりません。対象になる社はゼロでした。同じことが起きたとき、制度として資金が戻る仕組みを持つ社は、この20社にありません。補償基金の対象かに社ごとの照合を置いてあります。
みっつめ。「信託保全」と書かれていても、規約では分別管理だったという例があります。言葉は似ていて、意味は違います。会社が立ち行かなくなったときに効くかどうかが変わります。
この3つは、口座を開く前に確かめられます。破綻してからでは確かめても遅い、というだけの話です。
同じことを自分で確かめるには
手順は難しくありません。規約に書かれた契約先の法人名を控える。その法人名で金融庁の一覧を検索する。その法人を監督している当局の登録簿で照合する。これだけです。
ブランド名で検索しても出てきません。GEM-TRADE Co.,Ltd がそうだったように、一覧は法人名で載っています。ここを取り違えると「載っていなかった」という誤った結論になります。
口座を開く前の手順は自分で規約を確かめる方法に、ネガティブな話を見てしまったあとの読み方は「出金拒否」「詐欺」と書かれた話を、自分で確かめる方法にまとめてあります。
このページについて
ここに書いたのは、公表資料で確認できたことと、確認できなかったことだけです。個人の申立てや、真偽を確かめられない話は使っていません。私はこの会社に口座を持っていなかったので、被害があったかどうかについては何も書けません。
出典は、金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」の海外所在業者一覧(掲載名 GEM-TRADE Co.,Ltd、平成27年10月)と、Gemtrade LLC「Bankruptcy Proceedings Announcement」2026年2月15日付(gemforex.io、gemforex.com からのリダイレクト先)です。サービス休止の経緯とGBONDの扱いは報道に基づく二次情報です。
新しい発表があれば追記し、更新履歴に残します。
公表資料だけで追えるのは、ここまででした。いま動いている20社を同じ目で見るなら、20社の比較表と4条件を満たした2社にまとめてあります。合格は「おすすめ」という意味ではありません。その理由も、そのページに書いています。