
最終更新:2026年10月8日
「海外FXの出金で、日本の銀行口座が凍結された」。この話は、検索されている形がかなり具体的です。銀行名まで付いています。
ただ、口座を止めるかどうかを決めているのは銀行で、ブローカーではありません。ですからこのページで読んだのは、海外FXブローカーの利用規約ではなく、日本の銀行の預金規定と、海外送金サービスの規定です。読む相手が変わります。
手順はいつもと同じです。条番号を控え、書いてあることだけを並べ、取れなかったものは取れなかったと書きます。
海外FXを使うと、銀行口座は凍結されるのか:読めた7本に、その文言はありません
先に、いちばん大事なことを書いておきます。読めた7本の規定に、「海外FXだから制限する」と書いてあるものはひとつもありませんでした。書いてあるのは、別のことです。
このページは銀行側の規定を読んでいます。2026年6月1日に施行された資金決済法の改正は、これとは別の層の話です。規制されたのが誰かはクロスボーダー収納代行の規制にまとめました。
読んだのは5行・7本です
1行に1本ではありません。楽天銀行だけ3本読んでいます。口座そのものの規定と、海外送金を受け取る側の規定と、送る側の規定が、別の文書に分かれているからです。先に内訳を出しておきます。
- 楽天銀行|口座取引規定 / 海外送金被仕向サービス規定(受け取る側) / 海外送金規定(送る側)=3本
- 三菱UFJ銀行|普通預金規定=1本
- みずほ銀行|みずほ普通預金規定=1本
- 三井住友銀行|普通預金規定=1本
- ドコモSMTBネット銀行(旧 住信SBIネット銀行)|銀行取引規定=1本
これで5行・7本です。ソニー銀行とPayPay銀行は、条文そのものにたどり着けませんでした。この2行については、あとで別に書きます。
もう1本、GMOあおぞらネット銀行の公開ページも読んでいます。ただしこれは規定の条文ではなく、公開された方針です。性質が違うので、7本には数えていません。
読めた5行は、書きぶりがほとんど同じでした
まず預金規定・銀行取引規定の側を並べます。ネット銀行もメガバンクも、条項の組み立てはほとんど同じでした。
| 銀行 | 規定と条項 | できると書いてあること |
|---|---|---|
| 楽天銀行 | 楽天銀行口座取引規定 第11条の2 第4項・第5項 | マネロン・テロ資金供与・経済制裁関係法令その他法令等に抵触するおそれがあると判断した場合、取引の全部または一部を停止、または解約。解除の定めあり |
| ドコモSMTBネット銀行(旧 住信SBIネット銀行) | 銀行取引規定 第19条 第3項(11)(12) | 資料の提出がないとき、または抵触のおそれがあると判断したとき、事前通知なく停止・解約。解除の定めあり |
| 三井住友銀行 | 普通預金規定 11の2【取引の制限等】(1)(3)(4) | 回答がないとき、または抵触のおそれがあると認められる場合、入金・振込・払戻し等を全部または一部制限。解除の定めあり |
| 三菱UFJ銀行 | 普通預金規定 第13条(取引等の制限)第1項・第4項・第5項 | 回答がないとき払戻し等を一部制限。抵触のおそれがあると判断した場合、外為取引全般を制限。解除の定めあり |
| みずほ銀行 | みずほ普通預金規定 第12条(取引の制限等)第2項・第3項・第5項 | 同じ構造。制限対象に外国送金・外貨預金・外貨両替・外為取引への振替取引全般を明記。解除の定めあり |
銀行を変えても、この条項は消えません。検索では「ソニー銀行が」「楽天銀行が」と銀行名つきで語られますが、条文を読めた5行のあいだでは、文面に大きな差はありませんでした。読めていない2行がどう書いているかは、分かりません。
口座が凍結・制限される引き金は、2種類でした
5本の条文を読み比べると、制限の引き金は2種類に整理できます。どちらにも「海外FX」という言葉は出てきません。
1. 確認や資料の求めに応じないとき
三菱UFJ銀行の普通預金規定第13条第1項は「預金者が当行からの各種確認や資料の提出の依頼に正当な理由なく別途定める期日までに回答しない場合には、払戻し等の預金取引の一部を制限する場合があります」と書きます。
みずほ銀行も第12条第2項で同じ構造です。「何ら回答なく指定された提出期限が経過した場合」に一部を制限する、と。
ドコモSMTBネット銀行は第19条第3項(11)で「提出期限を指定して各種確認や資料の提出を求めたものの、提出がないとき」を、事前通知なく停止・解約できる事由に挙げています。
この引き金は、銀行から届いた確認に答えるかどうかで決まる形になっています。「お客さま情報のご確認」を放置しないことで、条文に書かれたこの要件は満たされなくなります。ただ、もうひとつの引き金は自分では動かせません。
2. マネロン等に抵触するおそれがあると判断したとき
楽天銀行の口座取引規定第11条の2第4項は「マネー・ローンダリング、テロ資金供与もしくは経済制裁関係法令その他法令等に抵触する取引に利用され、またはそのおそれがあると判断した場合」と書きます。
三菱UFJ銀行第13条第4項は、判断の材料まで書いています。確認や資料提出への対応、具体的な取引の内容、預金者の説明内容、その他の事情を考慮する、と。
「おそれ」で足ります。違法だと確定している必要はありません。ここは、ブローカーの規約でアービトラージの「疑い」が要件になっているのと同じ構造です。
「外為取引全般」が名指しされている
ここがいちばん、海外FXの出金に近い部分です。三菱UFJ銀行第13条第4項は、制限できる取引を具体的に列挙しています。
- 不相当に多額または頻繁と認められる現金での入出金取引
- 外国送金、外貨預金、両替取引、貿易取引等外為取引全般
- 抵触のリスクが高いと判断した個別の取引
みずほ銀行第12条第3項もほぼ同じで、「外国送金・外貨預金・外貨両替取引・貿易取引等外為取引への振替取引全般」と書きます。
海外FXの出金が海外からの送金として着金するなら、規定の言葉でいえばここに入ります。海外FXだから名指しされているのではなく、外為取引だから入る、ということです。国内の口座から振り込まれる形なら、この列挙にはあたりません。
なお、みずほ銀行は第12条第4項で「3年以上利用のない預金口座」も制限対象にしています。出金用に作ってそのまま放置した口座は、別の理由で止まりうるということです。
「無登録の金融商品取引業者」と書いた規定が、1本ありました
ここが今回いちばん驚いた部分です。楽天銀行の海外送金被仕向サービス規定 第4条第2項は、受け取った海外送金を入金処理しない事由を12個並べています。被仕向送金とは、海外から自分の口座に送られてくる送金のことです。海外FXの出金が海外からの送金として届く場合は、これにあたります。国内の口座から振り込まれる形の出金なら、被仕向送金ではありません。
その(8)が、これです。
オンラインカジノ、および無登録の金融商品取引業者に関連する取引
「無登録の金融商品取引業者」という言葉が、銀行の規定に名指しで書かれています。同じ項の(10)には「暗号資産(仮想通貨)の売買、暗号資産(仮想通貨)への投資等に関連する取引」も並びます。
読み方には、3つ注意が要ります。
- この条項は「該当すると当行が認めた場合」に入金処理を行わないと書いています。海外FXの出金がすべて止まる、と書いてあるわけではありません。あてはまるかどうかを認めるのは銀行です。
- 金融庁の一覧に載っていることが、この事由にあたることの確定ではありません。金融庁が公表しているのは、無登録で金融商品取引業を行う者として警告書を出した相手の一覧です。言葉としては重なりますが、規定のこの事由を認定するのは銀行で、別の判断です。
- これは7本のうち1本に書かれていた記載です。他の4行の海外送金関係の規定は、私は読めていません。同じ記載があるのかないのかは分かりません。
実際に何件が止められたのかも、私は確認していません。
なお同条第3項には、「送金目的を当行が確認できないとき」にも入金処理を行わないことがある、と書かれています。こちらは(8)と違って「行わないことがあります」で、裁量の書き方です。
送る側について、方針を公開している銀行もあります
出金の受け取りではなく、ブローカーへの入金のほうです。GMOあおぞらネット銀行は、セキュリティ対策のページで次のように書いています。
当社においては、無登録業者への送金や収納代行を目的とした銀行口座の利用はお断りしております。
同じページは、海外業者であっても日本の居住者を相手方に行う場合は一般に金融商品取引業にあたり、登録が必要だと説明したうえで、金融庁の登録一覧と警告先一覧へのリンクを置いています。これは規定の条文ではなく、公開ページに書かれた方針です。条文としてどこに定めがあるのかは、私は特定できていません。
止まったあと、どうすれば解けるのか
ここは2026年9月20日に原文を読み直して、前に書いたことを訂正しました。以前このページには「楽天銀行・三菱UFJ銀行・みずほ銀行の該当条項には、解除の手続きが書かれていません」と書いていました。3行とも、解除の条項を持っていました。私の読み落としです。
条文を読めた5行は、いずれも解除について書いていました。
- 楽天銀行|口座取引規定 第11条の2第5項「おそれが合理的に解消されたと当行が判断した場合は、当行は前4項に基づく取引の停止を解除するものとします」
- 三菱UFJ銀行|普通預金規定 第13条第5項「おそれが解消されたと認められる場合、当行は速やかに前4項の取引等の制限を解除します」
- みずほ銀行|みずほ普通預金規定 12(5)「取引の一部を制限した事由が解消されたと当行が認める場合、当行は前3項にもとづく取引等の制限を解除します」
- 三井住友銀行|普通預金規定 11の2(4)「おそれが解消されたと認められるときは、当行は速やかに当該取引の制限を解除するものとします」
- ドコモSMTBネット銀行|銀行取引規定 第19条第3項(12)の括弧書き「おそれが合理的に解消されたと当社が認める場合、当該取引の制限を解除します」
今回条文を読めた5行では、いずれも解除に関する定めが確認できました。読めていない2行がどう書いているかは分かりません。差が出たのは、その先でした。
解除の判断は、読めた5行とも銀行側にあります
5つの条文を並べて気づいたのは、解除の判断がすべて銀行側の認定にかかっていることです。「当行が判断した場合」「当行が認める場合」「認められるとき」。いつまでに判断するかを書いた行は、読めた5行の中にありませんでした。
期限の代わりに書かれているのは、解約までの期間のほうでした。三井住友銀行は普通預金規定 11(2)⑤で、取引の制限が1年以上にわたって解消されないときは解約できると書いています。三菱UFJ銀行も第14条第2項第6号で、みずほ銀行も第13条第2項第7号で、同じく1年です。止まったままでいられる上限は書いてあるのに、解いてもらえるまでの上限は書いていない。並べてみると、そういう形になります。
送る側では、理由を教えてもらえるとは限りません
ここは出金の受け取りではなく、日本から海外へ送る側(ブローカーへの入金にあたる側)の規定です。楽天銀行海外送金規定(個人・個人事業主)の第5条(海外送金の依頼)は、取扱いができなくなった場合や遅延が発生した場合について、こう書いています。
第1項第(3)号により依頼内容が確定した後で、お取扱いができないこととなった場合又は遅延が発生した場合であっても、契約者は、当行から契約者へのお取扱いできない又は遅延が発生した旨及びその理由の通知が行われない場合があることに同意するものとします
理由が知らされないことに、あらかじめ同意する形です。送金が止まった理由が分からないという話は検索でもよく見かけますが、少なくともこの規定を読むかぎり、それは想定の外ではありません。
受け取る側の海外送金被仕向サービス規定には、理由を通知しないという書き方は見当たりませんでした。ただし第10条(利用の停止等)に、第4条第2項(4)〜(12)のどれかに該当すると認めた場合は事前に通知することなく本サービスの利用を停止できる、という定めがあります。
取得できなかったもの
ソニー銀行は取引約款のページに到達できませんでした。PayPay銀行は規定のページがアクセスを拒否しました。どちらも条文を読めていないので、条項としては載せていません。
見当たらないことと、存在しないことは違います。読めていないだけです。読めたら追記します。
銀行の規定は、ブローカーの規約とは別の層にあります
念のため、はっきり分けておきます。このページで読んだのは日本の銀行の規定です。海外FXブローカーの利用規約ではありません。出金が着金しないとき、条項が効きうる層は3つあり、読む文書がそれぞれ違います。
- 1. ブローカー|出金そのものを保留・拒否できると定めた条項。これはブローカーの利用規約の話で、このページの調査とは別枠です。私が読んだかぎり、そうした条項は執筆時点で調べた30社のうち26社にありました。条文は出金が止まる条項に置いてあります
- 2. 決済業者|bitwallet や STICPAY のようなウォレット型の送金サービスを挟む場合。規約は決済業者で止まる条項に
- 3. 銀行|このページで読んだ、預金規定と海外送金サービスの規定
決済業者について読めたことを1行だけ書いておきます。bitwallet は契約先の法人名が公開文書から読み取れず、STICPAY はコスタリカの Extimit LTD と明記されています。金融庁の資金移動業者登録一覧(令和8年7月31日現在)には、どちらも見当たりません。
そして、どの段で止まっているのかは当人にも見分けがつきにくい。ブローカーの画面上は「送金済み」なのに着金しない、という形になるからです。「出金拒否された」と書かれた投稿の一部は、実際には銀行や決済業者の側かもしれません。読み方は「出金拒否」「詐欺」と書かれた話を、自分で確かめる方法に書きました。
自分の銀行の規定を確かめる手順
手順は5つです。
- 自分の銀行のサイトで「規定」「約款」を開く
- 普通預金規定(ネット銀行では銀行取引規定・口座取引規定)を探す
- ページ内を「制限」「マネー・ローンダリング」「解約」で検索する
- 海外送金を使うなら、海外送金の規定を別に探す。今回「無登録の金融商品取引業者」が出てきたのは、預金規定ではなくこちらでした
- 開いた日付を控えておく。規定は改定されます
背景にあるのは金融庁の「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」で、最新は令和8年3月31日付です。各行の規定が似た書きぶりになっているのは、これを踏まえた改定が入っているためだと私は読んでいます。各行に確かめたわけではありません。
このページについて
条文は各行の公開ページから取得しました。初回が2026年9月19日、三井住友銀行・楽天銀行の海外送金関係・GMOあおぞらネット銀行を足したのが2026年9月20日です。ドコモSMTBネット銀行の銀行取引規定は2026年8月20日改定版、外貨送金サービス規定は2026年8月3日現在のものです。規定は改定されます。読み直して変更があれば直し、更新履歴に残します。
読んだ文書
- 楽天銀行口座取引規定(2026-09-20確認)
- 海外送金被仕向サービス規定(個人・個人事業主)(同)
- 楽天銀行海外送金規定(個人・個人事業主)(ページ名は「楽天銀行海外送金利用規定」。同)
- 三井住友銀行 普通預金規定(PDF)(同)
- みずほ普通預金規定(同)
- 三菱UFJ銀行 普通預金規定(同)
- ドコモSMTBネット銀行 銀行取引規定(PDF)(同)
- GMOあおぞらネット銀行「無登録で金融商品取引業を行う業者に関するご注意」(同)
訂正(2026年9月20日)。公開時、このページには「楽天銀行・三菱UFJ銀行・みずほ銀行の該当条項には解除の手続きが書かれていない」と書いていました。原文を読み直したところ、3行とも解除の条項を持っていました。該当箇所を条文ごと差し替え、あわせて三井住友銀行を表に加えています。
訂正(2026年9月21日)。各行の規定の全文を保存し直して照合し、次を直しました。楽天銀行の送金規定の引用が送る側(海外への送金)の規定であることを明記し、省いていた前提の部分を戻しました。文書名を見出しどおり「楽天銀行海外送金規定(個人・個人事業主)」にしました。被仕向サービス規定第4条(10)の引用で抜けていた「(仮想通貨)」を戻しました。PayPay銀行の公開ページからの引用は、出典のページを特定し直せなかったため削除しました。
更新(2026年9月30日)。ページの立ち位置を明確にするため、検索用タイトルを本文に合わせて差し替えました(旧「海外FXで銀行口座が凍結される条件|5行の規定で独自調査」)。
あわせて3か所の書き方を直しています。「引き金として書かれているのは、2つだけ」を、読めた5行の範囲の話だと分かる見出しに変えました。「金融庁の一覧に載っている海外FXブローカーは、この言葉にあてはまります」という断定を外し、金融庁の一覧と、銀行が規定の事由を認定することは別の判断だと書き直しました。「解除条項の有無で銀行を選ぶ意味もありません」を、読めた5行で確認できたという書き方に変えました。条項番号と引用した条文は変えていません。
ここで確認しているのは、規定に何が書いてあるかです。実際に凍結された人がいるかどうかは確認していません。この区別は、このサイトのすべてのページで同じです。
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銀行側の条項は、どのブローカーを使っていても効きます。ブローカー側の条件を同じ基準で見るなら、30社の比較表と4条件を満たした2社にまとめてあります。合格は「おすすめ」という意味ではありません。その理由も、そのページに書いています。