最終更新:2026年10月27日

口座を開くと、身分証と住所確認書類を出します。サポートにチャットで聞くこともあります。それがどう扱われるかを、規約と個人情報保護方針で引きました。
・録音の対象は、通話だけではありません
・録音は会社の所有物で、内容は会社の記録が決定的です
・「最大7年」と「最低7年」は、逆の意味です

サポートに問い合わせるとき、相手が記録を取っているかどうかを気にしたことはありませんでした。規約を読んでいて手が止まったのは、対象が通話だけではなかったところです。

読んだのは、規約アーカイブに全文を保存してある顧客契約39本と、個人情報保護方針10本です。条項番号を添えてあるので、原文に戻って確かめられます。公開ページの説明は根拠にしていません。

結論:確かめられたことと、確かめていないこと

確かめられたこと。顧客契約に録音の定めを置いている社があり、対象は通話に限りません。チャット、メール、ミーティングまで並べている社があります。

そして個人情報保護方針の側には、録音のことが1社も書いていませんでした。読む場所が分かれています。

確かめていないこと。実際に録音されているか、どこに保存されているか、誰が聞けるかは分かりません。私が読んだのは「そう書いてある」という事実だけです。

録音の対象は、通話だけではありません

いちばん広く書いていたのはXMTradingでした。利用規約 第37.1条です。見出しも「Recording of telephone conversations, electronic communications, and meetings」で、48ページにあります。

原文(英語)を見る ― 出典:XMTrading 利用規約 第37.1条

Your telephone conversations, Electronic Messaging, e-mails, internet conversations (chat), meetings and other communications with us may be recorded/maintained by us. Any recordings shall be and shall remain our sole property and will be accepted by you as conclusive evidence of their content as recorded by us. You agree that we may deliver copies of transcripts of such recordings to any court, regulatory or government authority.

並んでいるのは通話・電子メッセージ・メール・チャット・ミーティング・その他の連絡です。サポートに打ったチャットも入ります。

BigBossも第13.5条の見出しが「Monitoring and Recording of Telephone Conversations and Electronic Mails」で、通話とメールを並べています。EBCはウェブサイト利用規約 第5.5.5条で、ライブチャットとインスタントメッセージを記録し、コンプライアンスまたは研修に使うと書いています。

録音は会社の所有物で、内容は会社の記録が決定的です

ここがこのページでいちばん書きたかったところです。XMTrading 第37.1条とExness 第7.6条は、同じ3点を置いています。

  • 録音は会社の単独所有物(sole property)
  • その内容を、顧客は決定的な証拠として受け入れる(conclusive evidence)
  • 裁判所・規制当局・政府当局へ、書き起こしの写しを引き渡せる

「決定的な証拠」の意味を考えました。やり取りの中身で争いになったとき、会社が持っている記録が基準になる、ということです。こちらの手元に同じ記録があるとは書かれていません。

自分で取っておく話になります。チャットの画面を保存する、メールを消さない。それ以上のことは規約には書かれていません。

警告音なしでも録音しうる、と書いた2社

Exness 第7.6条とLand Prime 第32条は、同じことを別の言葉で書いています。

The recording of our communication may be made with or without the use of a spoken warning, tone, or similar notification to the Client.(Exness 顧客契約書 第7.6条)

Land Prime 第32条の見出しは「RECORDINGS」で、「with or without the use of an automatic tone-warning device」と書いています。自動の警告音を使う場合も使わない場合もある、ということです。

日本の電話窓口で聞く「この通話は録音されます」の案内が、必ずあるとは限らないという読み方になります。同意は規約の側で取れている建てつけです。

録音の定めを置いている社と、条項番号

顧客契約を全文検索して、録音に触れている文書が18本ありました。そのうち条項番号まで特定できたのは12社です。残りは番号の位置を詰めている途中なので、ここには出しません。

会社 条項 書いてあること
XMTrading 利用規約 第37.1条 通話・電子メッセージ・メール・チャット・ミーティング。会社の単独所有物で決定的証拠。当局へ引き渡し可
Exness 顧客契約書 第7.6条 警告音あり・なしの両方。会社の単独所有物で決定的証拠。保存期間は適用規制の定めによる
Land Prime 顧客同意書 第32条 口座に関する会話すべて。自動の警告音を使う場合も使わない場合もある
Axi 顧客契約 第21.1条 見出しが「CONSENT TO RECORDING OF CONVERSATIONS」。電子的な録音への同意
BigBoss 顧客契約 第13.5条 見出しが「Monitoring and Recording of Telephone Conversations and Electronic Mails」。監視と録音を並べています
EBC Financial Group ウェブサイト利用規約 第5.5.5条 ライブチャットとインスタントメッセージを記録。コンプライアンスまたは研修に使う
HFM 顧客規約 第36.3条 通話と電子的な連絡の録音と保存を顧客が了解する
TitanFX 利用規約 第23.30条 見出しが「通話録音に対する同意」。電話・チャット・会議。調べた範囲でこの条文を日本語で読めるのはこの社だけです
MYFX Markets 顧客契約 第29.1条(48ページ) 見出しが「CONSENT TO RECORDING OF TELEPHONE CONVERSATIONS」
Tickmill 顧客サービス契約 第5.16条 通話とインターネット上の会話を記録しうる
IC Markets 顧客契約 第3.2条 かかってくる通話と、かけた通話のいずれも、または全部を記録する権限を顧客が与える
FXGT 利用規約 第18.8条 出入りする通話の内容を「Telephone Records」と定義しています

この表は、録音の定めがあるかどうかだけを見ています。録音の良し悪しは判定していません。記録を残すのは、紛争のときに双方の助けになることもあります。

個人情報保護方針には、録音のことが1社も書いていません

読んだ個人情報保護方針は10本です。Axi・EBC・iFOREX・IS6FX・Land Prime・MYFX Markets・Vantage・WeTrade・XS.com・Traders Trust。全文検索して、録音に触れている文書は0本でした。

つまり「自分の声やチャットがどう扱われるか」を個人情報保護方針で探しても出てこないということです。見るのは顧客契約のほうです。

保存期間:「最大7年」と「最低7年」は、逆の意味です

年数を書いていたのは5社でした。同じ「7年」でも、意味が逆になる書き方が混ざっています。

会社 文書と条項 年数
EBC Financial Group 個人情報保護方針 第7.1条 口座が有効な間。加えて終了後最大7年(up to seven years)
XS.com 個人情報保護方針 最低7年(at least seven (7) years)
Traders Trust プライバシーポリシー 第4項「Retention period」 最後の取引から最低7年
MYFX Markets Privacy Policy Statement AML法の要求により、取引関係の終了後7年
WeTrade プライバシーおよび個人データ保護方針 セントビンセントのAML/CFT規則に従い、口座閉鎖後最低5年

ここで線を引いておきます。「最大7年」は7年で消えるかもしれないという意味で、「最低7年」は7年たっても消えないという意味です。読者にとっては反対の話になります。

年数の記載が見当たらなかったのは5社です。Axi・iFOREX・IS6FX・Land Prime・Vantage。Axiは5ページ・16,642字のGlobal Privacy Noticeですが、「retain」「retention」「保存」「保管」のどの語も出てきません。Vantageも同じでした。

国外への移転を書いているのは3社

日本から出した書類が、どこで処理されるか。触れているのは3社でした。

  • iFOREX|「第三国へのデータの転送」の節。個人情報がBVIで保持・処理されないことに顧客が同意する、という建てつけです。世界中のさまざまなサイトで保存・処理する可能性にも同意します
  • Traders Trust|セーシェルの外へ移転することがある。行き先として欧州経済地域やその他の国を挙げています
  • WeTrade|第7.3条。移転は適切な保護措置がある場合に限る(拘束的企業準則など)と条件を書いています

残り7社は記載が見当たりません。書いていないことは、国外に出ないという意味ではありません。どこで処理されるかが読み取れない、ということです。

IS6FXは「保存期間が過ぎたら権利は行使できない」と書いています

開示や削除を求める権利について書いていたのは5社(Axi・IS6FX・MYFX Markets・WeTrade・XS.com)でした。Axiは権利の名前を表にして並べています。

そのなかでIS6FXの書き方に手が止まりました。「Retention of information」の節です。保存期間が切れたら個人情報は削除され、そのあとは開示・消去・訂正・データポータビリティの権利を行使できない、と書いてあります。

Once the retention period expires, Personal Information shall be deleted. Therefore, the right to access, the right to erasure, the right to rectification and the right to data portability cannot be enforced after the expiration of the retention period.(IS6FX プライバシーポリシー「Retention of information」の節。この文書は条項に番号を振らず、見出しで節を分けています)

読み方の問題はここです。同じ文書に、保存期間の年数が書かれていません。「法的義務の遵守、紛争の解決、契約の執行に必要な期間」とあるだけです。権利を行使できる期限が、期限の定めのない期間に紐づいています。

もう1点、同じ文書にあります。合併や買収、資産の一部または全部の売却のときに、口座と個人情報は移る資産に含まれる可能性が高い(will likely be among the assets transferred)と書いています。

Land Primeの「個人情報保護ポリシー」は、広告と閲覧情報の話でした

日本語URLの見出しは「個人情報保護ポリシー」です。中を開くと、本文は全部英語でした。2026-10-27に描画後の画面でも確かめました。

章立ては4つの質問です。どんな情報を集めるか、集めた情報をどう使うか、他社サイトの広告から得た情報をどう使うか、集められた情報を管理できるか。中身はIPアドレス、ブラウザの種類、広告のトラッキングが中心です。

探して見つからなかったものを書きます。「retention」「retain」「how long」の語が0件。「disclose」「service provider」も0件です。口座開設で出す身分証や住所確認書類の扱いについての節が見当たりません。

録音のほうは顧客同意書 第32条にあります。個人情報保護ポリシーと顧客同意書で、書いてある場所が分かれている形です。

この調査の限界

読んだのは規約アーカイブに全文がある顧客契約39本と、個人情報保護方針10本です。執筆時点で調べた30社の全部ではありません。

実際に録音されているか、どこに保存されているか、誰が聞けるかは確認していません。保存期間が守られているかも分かりません。確かめたのは、文書にそう書いてあるかどうかの1点です。

条項番号を特定できなかった6本は、この表に出していません。番号のない見出しの下にある可能性があるので、順に詰めます。

更新履歴

  • 2026-10-27 公開。顧客契約39本と個人情報保護方針10本から、録音・保存期間・国外移転・本人の権利の4点をまとめました