最終更新:2026年11月2日
まずここだけ(3行)
- 公表ページの「最小0.0pips」と、規約の「広がっても保証しない」は矛盾ではなく、別の層の話です
- 規約を読めた29社のうち、「会社の裁量で変えられる」「上限を保証しない」と明文で書くのは13社でした
- 規約の本文に「スプレッド」の語が一度も出てこない会社も5社あります
スプレッドについて、各社が規約の側で何を約束し、何を約束していないかを並べました。数字の比較ではありません。広告の数字がどんな条件つきなのかを、条文で確かめるページです。
読んだのは、当サイトの規約アーカイブに全文を保存してある規約本文です(取得日は各社2026年9月〜11月)。30社のうち本文を読めたのは29社。残る1社(EMCTrading)は、規約本文がサイト上に見当たりません。
結論:書き方は5つの型に分かれます
| 型 | 会社と条項 |
|---|---|
| 1. 会社の裁量で変えられる、と明文 | FXGT(第14.3.4条)、XS.com(第7.22条)、iFOREX(第10.1.5条)、FXDD(第62.1〜62.2条:スプレッドを含む手数料を「いつでも、当社の裁量で」変更・追加・削除できる)、NordFX(別紙03第1.6.2条:固定スプレッドの変更は7日前の通知つき。ただし通常と異なる市場状況・不可抗力では通知なし) |
| 2. 上限・最大最小を保証しない、と明文 | IC Markets(第5.2条)、MYFX Markets(第12.10条)、Tickmill(第14.10条)、WeTrade(第3.6条の節)、HYCM(第3.7条:大きく広がり得る・最大最小を保証しない)、FXDD(第82.5条:特定の最大スプレッドで提示する義務を負わない) |
| 3. 広がる場面を列挙 | FXGT(第14.3.5条:ニュース・低流動性など)、HFM(第6.13条:低流動性・高ボラティリティ)、Exness(General Business Terms 第2.8条:価格が不確実な場面の扱い)、FXCC(第27条:不可抗力時に取り得る措置の列挙に「スプレッドの拡大」) |
| 4. 定義や別紙参照のみ | XMTrading(第9.1.74条の定義と第9.1.43条の別紙参照)、AXIORY(定義で「変動する差」と明記)、IS6FX・Axi・ThreeTrader・Land Prime・Traders Trust・Tradeview(定義・費用・リスク文の中に登場)、DecodeFX(末尾のDEFINITIONS節に定義のみ) |
| 5. 本文に「スプレッド」の語がない | BigBoss(利用規約58,337字)、TitanFX(57,766字)、Milton Markets(日本語版6.2、23,242字)、EBC Financial Group(利用規約4,101字)、TradeQuo(Client Services Agreement 55,721字)。いずれもアーカイブ保存時点の本文 |
型1と型2の代表的な文はこうです。iFOREXは日本語の契約で「スプレッドの変更は、いつでも予告なしに行われること」「スプレッドの幅に制限はなく」と書いています(第10.1.5条)。IC Marketsは「どこまで大きくなり得るかに制限はない」という趣旨を第5.2条に置いています。
XS.comの第7.22条とFXGTの第14.3.4条は、「会社は裁量でスプレッドを増減できる」という同じ趣旨の英文です。またNordFXは、固定スプレッドの変更に「7日前の通知」を置くと書いた唯一の会社でした(別紙03第1.6.2条。ただし通常と異なる市場状況・不可抗力では通知なしで変えられます)。会社が違っても条文の型が重なるのは、同じ条文が別の会社にもあるで追いかけている現象と同じです。
ほぼ同じ一文が、複数社の規約にあります
MYFX Marketsの第12.10条とTickmillの第14.10条は、「提示できるスプレッドの最大・最小を保証しない」という趣旨の、ほぼ同じ英文です。どちらも「相場の状況は会社の管理の外にある」という理由まで同じ並びで書いています。今回足したHYCMの第3.7条も同じ系統の文で、WeTradeの第3.6条の節とあわせて同系の雛形が少なくとも4社にあります。
どちらかが写したとは書きません。規約の雛形が業界で共有されている、という事実の記録です。雛形の重なりは同じ条文が別の会社にもあるに集めています。
「広がった場面を使う取引」を禁止する側の条文もあります
VantageとVT Marketsの規約には、禁止行為の列挙の中に「異常な流動性低下時等のスプレッド拡大局面を利用し、市場注文または指値注文によるスキャルピングを行うことにより利益を得ることを意図した注文」という項があります(両社とも禁止行為の列挙の(c)。Vantageは英語版・日本語版の両方で確認)。
これは読み方を変えると、規約自身が「スプレッドは異常時に広がるもの」という前提を書いているということです。広がるかどうかではなく、広がった時にどう扱われるかが条文になっています。
このページの読み方
「保証しない」と書いてあることは、悪い知らせではありません。変動スプレッドの仕組みをそのまま文にすれば、こう書くしかないからです。むしろ何も書いていない規約より、読者が事前に知れることは多い。
公表ページの「最小0.0pips〜」は最小値の話、規約の「上限を保証しない」は最大値の話です。2つは層が違うので、並べても食い違いにはなりません。食い違いになるのは、公表ページが「固定」と言い、規約が「変動」と言うような場合です。今回の23社では、その型は見つかりませんでした。
このページで確かめていないこと
実際のスプレッドの広がりは計測していません。このページは「規約に何が書いてあるか」だけです。実測の数字は、設計書どおり実測の段階で足します。
到達できていないのは残り1社:EMCTradingは、口座開設フォームの「Customer Agreement」のリンク先が空のままです(2026-11-02に再確認)。2026年8月にリスク開示のPDFがサイトに載り、本文を読んで保存しましたが、その中にもスプレッドの語はありませんでした。規約本文を取得でき次第この表に足します。
型5の5社は「アーカイブ保存時点の本文にスプレッドの語がない」という事実で、スプレッドに関する取り決めが無いという意味ではありません。別紙や取引条件ページ側に置いている可能性があります。
出典
- 各社の規約本文(当サイトの規約アーカイブに全文保存。取得日は2026年9月〜10月、各アーカイブに明記)
- 条項番号は各引用に添えたとおり。原文の確認はアーカイブと各社の公式サイトでできます
更新履歴
- 2026-11-02 公開。規約アーカイブにある23社の本文からスプレッドの条項を抽出しました
- 2026-11-02 公開時に「未到達7社」と書いたのは、規約アーカイブ索引の個別節の読み落としでした。FXDD・DecodeFX・NordFX・TradeQuoの規約は2026-09-23から保存済みです。この日に原文を取り直して保存し(文書名・版は9月版と一致)、FXCCの顧客契約(CFDs Customer Agreement)とHYCMの顧客契約を新たに取得して、6社分を表と本文に追記しました。HYCMの第3.7条は、契約先のHYCM Capital Markets S.R.L.版(2025年8月)とHYCM Limited版(2023年11月)の両方にあります。残るはEMCTrading 1社です(リスク開示PDFは読めましたが、スプレッドの語はありませんでした)