入金に使った決済業者が止まったら、出金はどこに戻るのか|30社の規約で確かめた3つの層

最終更新:2026年10月25日

「入金に使った業者が止まった」「同じ方法でしか出金できないと言われた」で来られた方へ。私が確かめたのは、規約と公開ページに何が書いてあるかだけです。どの決済業者が止まるかは予想していません。
・規約は3つの層に分かれています
・「入金と同じ方法で返す」13社
・返せないときどうするか、書いていたのは9社

海外FXの入出金には、たいてい会社と自分のあいだに決済業者が入ります。クレジットカード、電子ウォレット、国内の銀行送金を仲介する業者です。

この層が止まると何が起きるか。出金の受け取り先が消えます。規約の多くが「入金に使ったのと同じ方法で返す」と定めているからです。マネーロンダリング対策としては合理的な定めですが、その方法が使えなくなった場合の話は、別に書いてある必要があります。

30社を読み直して分かったのは、規約が3つの層に分かれていることでした。そして3層目まで書いている会社は9社でした。

規約は3つの層に分かれています

第1層:入金額の分は、入金に使った方法に返す。13社で確認しました。

第2層:入金額を超える分、つまり利益は、別の方法になる。6社が明記しています。

第3層:その方法が使えないとき、会社はどうするか。9社が書いています。

読んでいていちばん効くと思ったのは第2層でした。カードや電子ウォレットで入金した人は、出金が2本に分かれます。入金額の分はその方法へ、利益の分は銀行口座へ。片方の受け取り先が消えると、片方だけが止まります。

第1層:「入金と同じ方法で返す」13社

会社 書いてあること 根拠
Exness 入金元の口座へ送金する。係争がある場合は顧客に属する口座へ 顧客契約 第7.9条(B)
XMTrading 同じ送金人・同じ決済方法に送金する権利がある(義務ではない) 利用規約 第62.5条
FXGT 入金元・同じ決済方法・同じ送金人に返す 利用規約 第15.10.2条(ii)
Traders Trust 出金は入金に使ったのと同じ方法で、同じ送金人へ。カードでの支払いは、支払いに使った同じカードへ 顧客サービス契約 第10.6条・第26.1条
iFOREX 入金した資金の出金は、入金に使ったのと同じ方法で、同じ送金人へのみ。本人のものと確認できない入金は、受領したのと同じ方法で送金者に返す 顧客契約 第9.3.6項・第9.2.3項
WeTrade 出金は原則として入金元の銀行口座へ返す。返金は入金に使った同じ決済方法で処理する 顧客契約 第10.4条/返金・返品規約 第2項
IC Markets 支払いは申込書で指定した銀行口座へ直接。第三者や第三者名義の銀行口座へは支払わない(第14.8条)。資金は通常、入金時に利用したものと同じ方法で返金される(出金ポリシー) 顧客契約 第14.8条/出金ポリシー(公開ページ)
Vantage 入金に使用された口座と同じ口座にのみ出金処理を行う 入出金規約(公開ページ)
XS.com 出金は入金に使ったのと同じ方法で、同じ送金人へ。入金額の全額を、入金時と同じ方法・同じ順序で出金する必要がある 顧客規約 第18.12条/入出金ページ(公開ページ)
Tickmill カード入金の総額と同額までの出金は、同じカードに戻る 入出金の条件(公開ページ)
Milton Markets 入金と同じ方法で出金を申請する必要がある 入出金ページ(公開ページ)
IS6FX 入金した資金の出金は、入金に使ったのと同じ方法で、同じ送金人へのみ。カード入金は入金額までカードへ返金。本人のものと確認できない入金は、受領したのと同じ方法で送金者に純額を返す 利用規約 第10条・第9条
TradeQuo 出金は、入金に使ったのと同じ方法で、同じ送金人に対して行う必要がある 顧客規約 第7.6条

根拠の列を分けたのは、重さが違うからです。規約の条項は契約の一部です。公開ページの案内は、会社がいつでも書き換えられます。このサイトでは公開ページの説明を判定の根拠にしませんが、実務の運用を知るには役に立つので、分けて載せました。

XS.com の「同じ順序で」という書き方は、調べた範囲でここだけでした。複数の方法で入金した場合に、どの順に出金するかまで決めていると読めます。カードで入れて電子ウォレットでも入れた人は、出す順番を自分で選べないことになります。

第2層:利益分は別の方法になる、と書いている6社

会社 書いてあること 根拠
Tradeview カード・電子ウォレット入金では出金額が元の入金額を超えられない。利益は銀行送金など別の方法で送る 出金ポリシー
TitanFX 入金額を超える取引利益の出金は、顧客が選択する利用可能な支払方法に応じて処理される 入出金規約(日本語PDF)
IC Markets 元の入金額を超える金額は、カードへの出金(カードのコピーが必要)または銀行送金などの代替方法 出金ページ(公開ページ)
VT Markets 元の入金額を超える金額を、同じカードに出金することはできない 入出金ポリシー(公開ページ)
iFOREX 利益の出金は、顧客名義の銀行口座にのみ送金できる 顧客契約 第9.3.6項
IS6FX 利益の出金は、顧客名義の銀行口座にのみ送金できる 利用規約 第10条

Tradeview の出金ポリシーは、受け取り先の名義にも触れていました。

Profits made in excess of the deposited amount will be transferred to a nominated bank account; which must be held in the same name as your trading account.(出金ポリシー)

利益を受け取るには、取引口座と同じ名義の銀行口座が必要ということです。家族の口座や法人の口座では受け取れません。これは決済業者が止まったときに限らず効いてきます。

IC Markets が「カードのコピーが必要」と書いているのも、読み落としやすい点だと思います。利益をカードに戻すには追加の書類が要る、ということです。

第3層:返せないときどうするか、書いていたのは9社

ここは2026-10-24に数え直しました。はじめは3社と書いていました。間違っていたのは数ではなく、探し方です。「会社が送金できない場合」という書き方だけを探していて、同じことを別の言い方で書いている条項を拾えていませんでした。

読み直すと、形が3つに分かれます。

3つを足すと10になりますが、会社の数は9社です。XMTradingだけが形1と形2の両方に出てきます。第62.6条が形1、第62.5条が形2です。

形1:会社が送れないとき、代替手段で送る「権利」を留保する(3社)

XMTrading の利用規約第62.6条がいちばんはっきりしています。

原文(英語)を見る ― 出典:XMTrading 利用規約 第62.6条

If we are unable to remit the funds, or any partial amount thereof, to the same remitter from, and by the same payment method through which such funds were initially received by us, we reserve the right (but shall under no circumstances be obliged) to transmit the funds via an alternative payment method selected by us, at our sole discretion, in any currency we deem fit (regardless of the currency in which the initial deposit was made).(利用規約 第62.6条)

読みどころが3つあります。一つめ、このケースを想定した条項が実際に存在すること。

二つめ、代替手段で送るのは権利であって義務ではないこと。括弧のなかで「いかなる状況においても義務を負わない」と断っています。ここは読んでいて手が止まりました。想定して条項まで書いたうえで、義務にはしないという書き方です。

三つめ、通貨も会社が選べると書いてあること。日本円で入れた資金が別の通貨で返ってくる可能性がある、という意味です。為替の差は読者が負います。

FXGTは利用規約第15.10.2条(ii)に同じ趣旨を置いています。会社が承認し検証した代替の決済方法で送金する権利を留保する、という書き方です。ただし第15.10.1条(i)により、ここでいう「返金」は、入金したがまだ一度も取引していない顧客に限られます。取引を始めたあとの出金には及びません。

3社目はAXIORYです。顧客規約第21.9条は、終了時の残高を入金と同じ方法で払い戻すとしたうえで、例外的な状況では単独の裁量で別の送金元に返す場合があると書いています。

そして例外的な状況の例として、「元の送金元にアクセスできない場合」を挙げています。30社のなかで、この状況を名指ししているのはAXIORYだけです。XMTrading は「送金できない場合」、FXGT は「何らかの理由で支払いを進められない場合」で、原因には触れていません。

ただしAXIORYの条項にも条件が付いています。AMLポリシーと規制上の義務に適合する限りという留保です。会社が適合しないと判断すれば、別の送金元には返らないことになります。

形2:特定の決済方法を断って、別の方法を求める・提案する(6社)

最初に数え落としていたのはこの形です。会社が送れないのではなく、会社がその方法を断る側から書いてあります。

会社 根拠
XMTrading 利用規約 第62.5条
TradeQuo 顧客規約 第7.6条
XS.com 顧客規約 第18.12条
Traders Trust 顧客サービス契約 第10.6条
iFOREX 顧客契約 第9.3.6項
IS6FX 利用規約 第10条

TradeQuo・XS.com・Traders Trust・iFOREX・IS6FXの5社は、文面がほとんど同じです。ここも雛形だと思います。XMTradingだけは別の書き方で、第62.5条が「(a) 特定の決済方法での出金を拒否する」「(b) 出金依頼に書かれた方法とは別の方法を求める。その場合は出金依頼を出し直すことになる」「(c) 追加の書類の提出を求める」の3つを並べています。こちらは「提案する」ではなく「求める」です。

原文(英語)を見る ― 出典:XS.com 顧客規約 第18.12条

Client’s withdrawals should be made using the same method used by the Client to fund his Client Account and to the same remitter. The Company reserves the right to decline a withdrawal with a specific payment method and will suggest another payment method where the Client needs to proceed with a new withdrawal request, or request further documentation while processing the withdrawal request.(顧客規約 第18.12条)

形1との違いは2つあります。一つめ、きっかけが逆です。形1は会社が送れないとき、形2は会社がその方法を断るときです。

二つめ、こちらは「提案する」と言い切っています。「will suggest」です。形1は「権利を留保する(義務ではない)」でした。別の方法を出してもらえる根拠としては、形2のほうが強く読めます。ただし提案された方法を使うには、新しく出金申請をやり直す必要があると同じ文に書いてあります。

XS.comの第18.12条には、もう1つあります。入金された通貨でのみ送金する権利を留保するという定めです。XMTradingは逆に「会社が適切と考える通貨で」と書いていました。向きが反対です。

形3:顧客が別の銀行口座を希望したときの条件(1社)

WeTradeだけでした。顧客契約第10.4条が、別の銀行口座への支払いを認める条件を並べています。

原文(英語)を見る ― 出典:WeTrade 顧客契約 第10.4条

Client withdrawals must normally be returned to the bank account from which the funds originated. Where the client requests payment to an alternative bank account, the broker may permit the withdrawal provided that the alternative account is held in the client’s name, the ownership of the account has been independently verified, the reason for the change has been documented where appropriate, and Compliance has completed all required AML/KYC, sanctions and transaction-monitoring checks. Payments to accounts held by third parties or unrelated legal entities should not be permitted unless specifically approved by Compliance based on documented legal and AML justification.(顧客契約 第10.4条)

読者の側からすると、ここがいちばん使えます。別の口座に出してもらうために何を揃えればいいかが、4つ書いてあるからです。本人名義であること、口座の所有が独立に検証されていること、変更の理由が記録されていること、そしてコンプライアンスがAML・KYC・制裁・取引モニタリングの確認を終えていること。

裏から読むと、時間がかかる理由も書いてあります。最後の確認は会社の内部手続きなので、こちらからは進み具合が見えません。第三者名義の口座は、原則として認めないとも書いてあります。家族の口座に出してもらう話は、ここで止まります。

残りの会社に書いていないことは、返してくれないという意味ではありません。書いていないだけです。実務では、業者が止まれば別の方法で出すのが普通だと思います。ただ規約に根拠がないと、揉めたときに読者の側から主張する材料がありません。

FXDDとFXCCは、この数え直しに含められていません。規約アーカイブに顧客契約の全文を置けていない2社です。次の読み直しで確かめます。EMCTradingは顧客同意書へのリンクが空、HYCMとMYFX Marketsは robots.txt が取得を断っているため、いずれも未確認です。

決済業者が止まったと聞いたら

条項を読んで、順番が決まりました。

① 入金履歴を保存する。どの方法でいくら入れたかが、第1層と第2層の境目を決めます。会社の記録と自分の記録が合わないと、話が長くなります。マイページの履歴は、口座が閉じると見られなくなります。

② 取引口座と同じ名義の銀行口座を用意しておく。利益分の受け取り先として要求する会社があります。名義が違うと受け取れません。

③ 同意した版の規約を、日付つきで手元に落とす。第3層を書いている9社も、書き換えは自由です。

④ 書面で問い合わせ、送った日時を残す。チャットで済ませると、あとから参照できないことがあります。

出金そのものが止まっている場合は、見る条項が変わります。出金を止められると定めた条項に30社ぶんを並べました。会社が日本から撤退する話であれば、撤退の予告は何日もらえるのかのほうです。ほかの型はいま起きていることから、規約のどこを見ればいいかにまとめています。

この調査の限界

どの決済業者が止まるかは予想していません。ここに書いたのは、止まったときに規約がどうなっているかだけです。特定の業者について危ないとも安全とも書いていません。

決済業者の側の規約は読んでいません。読んだのはブローカー30社の規約と公開ページです。業者とブローカーのあいだの契約がどうなっているかは公開されていないので、分かりません。

第1層で名前が挙がっていない会社に、同じ定めがないとは限りません。私が読んだ文書のなかに見当たらなかった、というだけです。入出金の案内はログイン後にしか出さない会社もあります。

HYCM と MYFX Markets は、robots.txt が私の取得を断っているため読んでいません。この2社は未確認です。EBC は顧客契約そのものが公開文書に見当たらず、EMCTrading は顧客同意書へのリンクが空でした。

調査基準日は2026年10月22日です。条項番号が動いていたら、記事を直して更新履歴に残します。一社ずつの詳しい調査は30社の比較表にあります。

更新履歴

2026-10-24(5) 出金を止められると定めた条項のページに条項番号を入れる作業をしていて、第1層のXMTradingの根拠が1つずれていたことに気づきました。「同じ送金人・同じ決済方法に送金する権利がある(義務ではない)」は第62.5条で、第62.6条は「送れない場合に代替手段で送る権利」のほうです。隣の条を書いていました。あわせて第62.5条には「出金依頼に書かれた方法とは別の方法を求める」という定めもあったので、形2を5社から6社にしました。

2026-10-24(4) IC Marketsの欄を分けました。第14.8条が定めているのは「申込書で指定した銀行口座へ直接支払う/第三者の口座へは支払わない」で、「入金と同じ方法」とは書いていません。同じ方法という話は出金ポリシー(公開ページ)のほうでした。条項と公開ページを1つの文に混ぜていたので、根拠ごとに書き分けました。

2026-10-24(3) 第3層を数え直して3社から9社にしました。間違っていたのは数え方です。「会社が送金できない場合」という書き方だけを探していたので、「特定の決済方法を断って別の方法を提案する」という形の5社(TradeQuo・XS.com・Traders Trust・iFOREX・IS6FX)と、「顧客が別の銀行口座を希望したときの条件」を書いた1社(WeTrade)を数えていませんでした。第3層を3つの形に分けて書き直しました。あわせて第2層にiFOREX(第9.3.6項)とIS6FX(第10条)を足して6社に、第1層のTraders Trust・iFOREX・XS.com・IS6FXの根拠を、公開ページから規約の条項に差し替えました。

この数え直しは、規約アーカイブに置いた一次資料の全文を「同じ送金人」「別の決済方法」「別の銀行口座」の3通りの言い方で横断検索して行いました。検索語を1通りにしていたのが、最初の数え落としの原因です。

2026-10-24(2) WeTradeの顧客契約第10.4条を読み直して、第1層の根拠を公開ページの返金規約から規約の条項に差し替えました。あわせて第3層が4社から5社になりました。別の銀行口座へ支払う条件をここまで具体的に書いている会社は、調べた30社でWeTradeだけでした。

2026-10-24 条項番号を原文で引き直す点検をしていて、第1層に入るべき2社を落としていたことに気づきました。IS6FX(利用規約 第9条)とTradeQuo(顧客規約 第7.6条)です。第1層は11社から13社に、第3層は3社から4社になりました。最初の調査では会社ごとの規約を「返金」「同じ方法」の語で探していて、IS6FXが「送金者」、TradeQuoが「送金人」と別の語を使っていたために拾えていませんでした。数え落としで、書いてあったことを書いていなかったと伝えてしまっていました。