口座を開いたとき同意した規約と、いま公開されている規約は、同じとは限りません。改定されても、個別に知らせが来ない社があります。EAを動かしたまま数か月ログインしない人ほど、この条項が効きます。
執筆時点で調べた20社の顧客契約から、改定の条項を読みました。通知の猶予を日数で書いている社は5社。残りは「いつでも変更できる」「ウェブサイトに掲載した時点で効力を持つ」という書き方です。
そして1社だけ、他社と正反対のことを書いていました。
結論:猶予は0日から2か月まで開きます
| 書き方 | 社数 | ブローカー |
|---|---|---|
| 顧客と会社の双方が署名しなければ改定できない | 1社 | Land Prime |
| 60日以内に異議がなければ同意とみなす | 1社 | XMTrading |
| 不利な変更は30日前(商用)/2か月前(消費者)の通知 | 1社 | MYFX Markets(セーシェル名義) |
| 通知から10日、または次に取引した時点で拘束 | 1社 | Vantage Trading |
| ウェブサイトに掲載した時点で即時有効 | 2社 | FXGT、EBC(ウェブサイト利用規約) |
| いつでも変更でき、顧客の同意は不要と明記 | 2社 | iFOREX、IS6FX |
| 通知するが猶予日数の定めなし | 5社 | AXIORY、BigBoss、Tradeview、WeTrade、TitanFX |
| 一部の変更(証拠金率・執行方針)は即時、他は通知 | 1社 | WeTrade(上と重複) |
| アーカイブの範囲では改定条項が読み取れない | 6社 | HFM、Exness、XS.com、Milton Markets、ThreeTrader、Axi |
| 規約非公開 | 1社 | EMCTrading |
20社の条項
| ブローカー | 条項 | 書いてあること |
|---|---|---|
| Land Prime | 顧客同意書 AMENDMENT | 「本契約のいかなる条項も、顧客と Land Prime Ltd. の権限ある役員の双方が署名した書面によらなければ、放棄も改定もできない」。20社で唯一、会社の一存では変えられないと書いた社です |
| XMTrading | 利用規約 | 変更の通知から60日以内に書面で異議を述べず、その後も口座を維持した場合は、同意したものとみなす |
| MYFX Markets | [セーシェル名義]Client Service Agreement 第21.1条 | 顧客に有利な変更は事前通知で可能。不利になりうる変更は、商用利用なら30日前、消費者なら2か月前の通知が必要。20社でいちばん長い猶予です |
| Vantage Trading | 顧客契約 AMENDMENT (a) | いつでも改定でき、通知するかどうかは会社が選べる(may elect)。顧客は通知から10日後、または次に取引した時点のいずれか早いほうで拘束される |
| FXGT | 利用規約 第3.3条 | いつでも修正・変更・削除・追加できる。ウェブサイトで通知し、「修正後の条項は、公式に掲載された時点で即時に効力を持つ」。実際の拘束はログイン時のチェックボックスによる承諾で生じる、と続く |
| EBC Financial Group | ウェブサイト利用規約 第4.1条 | 「事前の通知なくいつでも改定・更新する権利を留保する」 |
| iFOREX | 顧客契約 第16.2条 | (i) 法令や当局の決定にともなう場合、または(ii) 当社が単独の裁量で決めた理由により、一方的に改定できる。通知は書面・メール・ウェブサイト・取引プラットフォームのいずれかで行い、「顧客の同意は必要としない」 |
| IS6FX | 利用規約(Comoros) Amendment thereof | iFOREXとほぼ同じ条文。契約は無期限に有効で、当社が一方的に改定できる |
| AXIORY | 利用規約 第30.4条 | いつでも改定でき、メールの送信とウェブサイトへの掲載で書面要件を満たす。「顧客は当該改定の条項に拘束されることに同意する」。なお第4.1条では、手数料等を「顧客への通知なくいつでも」変更できるとしています |
| BigBoss | 利用規約 Amendment | 随時改定でき、顧客が通知を受領したとみなされた時点で即時に効力を生じる |
| Tradeview | 顧客契約 Amendment | ウェブサイトに通知を掲示することで改定できる。口頭での改定は認めない |
| WeTrade | 顧客契約 第27.2条 | いつでも通知のうえ改定できる(特定の条項が別の猶予や通知不要を定める場合を除く)。証拠金率と執行方針の変更は即時に適用される |
| TitanFX | 利用規約 第23.7条・第23.8条 | 「当社は、いつでも本約款を修正、変更、改訂、追加または置換することができます」。修正された場合は最新の約款を電子メールで送る、と第23.8条にあります |
| ThreeTrader | お客様規約 | 異常な市場状況などの場合に、取引時間や証拠金率とあわせて本規約や個別の契約を改定・変更できるという条項があります。一般的な改定手続の独立した条項は読み取れませんでした |
| HFM | 顧客契約書 | アーカイブの範囲では、改定の手続と猶予を定めた条項を読み取れませんでした |
| Exness | 顧客契約 | 関連文書を「随時改定されるもの」として契約に取り込む定めはありますが、改定手続の独立条項は読み取れませんでした |
| XS.com | クライアントサービス契約 第19.1条 | 手数料・コスト・金融費用について「顧客との協議も事前の同意もなく、一方的に変更できる」。規約本体の改定手続は読み取れませんでした |
| Milton Markets | 利用規約 v6.2 | 改定手続の独立条項は読み取れませんでした |
| Axi | 顧客契約 | 改定手続の独立条項は読み取れませんでした。第1.2条で規約が随時変更されうることには触れています |
| EMCTrading | — | 規約文書が公開されていないため判定できない |
原文(英語)を見る ― 出典:Land Prime 顧客同意書 AMENDMENT
No provision of this Agreement may be waived or amended unless the waiver or amendment is in writing and signed by both Customer and an authorized officer of Land Prime Ltd.
原文(英語)を見る ― 出典:iFOREX 顧客契約 第16.2条
This Agreement may be amended, modified, updated or changed unilaterally by the Company (i) if such amendment is necessary following an amendment of the Laws and Regulations […]; or (ii) for any reason which the Company may decide in our sole discretion. In any such case, the Company shall notify the Client of the said amendment either in writing or per electronic mail or through the Website, or through the Trading Platform and the Client’s consent shall not be required for any such amendment.
読んでいて手が止まった3か所
1つめは、Land Primeです。「顧客と権限ある役員の双方が署名した書面によらなければ改定できない」。他の19社が「当社はいつでも変更できる」と書くなかで、ここだけ逆でした。読み違いかと思って3回読みました。
2つめは、MYFX Marketsの「2か月前」です。不利になりうる変更には消費者向けに2か月の猶予を置く、と条文が区別しています。有利な変更と不利な変更を分けて書いた社は、ここだけでした。
3つめは、iFOREXの「顧客の同意は必要としない」です。改定できる理由として「当社が単独の裁量で決めた理由」を挙げたうえで、同意不要と明記します。IS6FXの規約にもほぼ同じ文があり、同じ雛形が使われているように見えます。
EAを動かしている人に、何が起きうるか
この条項が実際に効くのは、ログインしない期間があるときです。規約が変わったことをウェブサイトの掲載だけで通知する社なら、気づく機会はログインのときしかありません。
変わりうるのは規約の文言だけではありません。WeTradeは証拠金率と執行方針の変更が即時に適用されると書いています。XS.comは手数料を顧客との協議も同意もなく変更できると定めています。変動レバレッジや禁止される取引手法の定義も、同じ手続で変わります。
ここから何が言えるか
言えないことから書きます。「いつでも変更できる」と書いてあること自体は、不当とは限りません。相場や規制が動く以上、変更の余地を残すのは普通です。問題は、変わったことが利用者に届くかどうかです。
言えるのは3つです。
- 猶予日数を条文に書いている社は、20社中4社でした。XMTrading(60日)、MYFX Markets(30日/2か月)、Vantage Trading(10日)、そして双方署名を求めるLand Prime
- 「ウェブサイトに掲載した時点で有効」の社は、自分で見に行くしかありません。メールでの個別通知を約束している社(AXIORY、TitanFX)とは、確かめ方が変わります
- 口座を開いた日の版が、いまも有効とは限りません。使っている口座があるなら、もう口座がある人の確認の1番目がここです
同じことを自分で確かめるには
- 顧客契約で Amendment/Variation/修正/変更 の見出しを探す。終盤の「一般条項」の中にあることが多い
- notice(通知) の方法と、days(日数) の有無を見る。日数がなければ猶予はありません
- deemed(みなす) の語を探す。「異議を述べなければ同意したものとみなす」型かどうかが分かります
- いま公開されている規約の版数や更新日を控え、自分が口座を開いた時期と比べる
このサイトでは20社の規約を毎日取得して差分を見ています。条項の文言が変わったときだけ記事を直し、規約で先に見る条項に反映します。
このページについて
2026年9月20日時点で規約アーカイブに保存してある各社の文書から、改定の条項を読みました。各社の記事に書いた調査基準日の版です。
確認できなかったこと。HFM、Exness、XS.com、Milton Markets、ThreeTrader、Axiの6社は、アーカイブの範囲で改定手続の独立条項を読み取れませんでした。条項が存在しないという意味ではなく、私が見つけられなかったという意味です。EMCTradingは規約が非公開です。MYFX Marketsはセーシェル名義とコモロ名義で契約書が2本あり、日数を定めているのはセーシェル名義のほうです。規約は3か月に一度読み直し、変更があれば直して更新履歴に残します。
改定の条項は20社すべてにあります。猶予の有無ではなく記載の整合性で絞るなら、20社の比較表と4条件を満たした2社にまとめてあります。合格は「おすすめ」という意味ではありません。その理由も、そのページに書いています。