出金が止まる話は別のページで書きました。入金は、止まる場所がもう1つ増えます。カード会社です。
そこで今回はカード会社の会員規約を原文で読みました。JCBと三井住友カード。どちらも公開されている個人会員向けの規約です。
先に、いちばん意外だったことを書きます。どちらの規約にも、海外FXへの入金を名指しで禁止する条項は見当たりませんでした。
結論:入金で止まりうるのは4か所です
| 止まる場所 | 根拠になる条項 | 発動の要件 |
|---|---|---|
| カード会社 | JCB 第22条第7項(3)/三井住友カード 第15条第2〜4項 | 不審・可能性があると判断 |
| ブローカー | 入出金ポリシー(名義・原経路) | 名義の不一致 |
| 決済業者 | bitwallet 第14条第2項/STICPAY 6.1 | その可能性があると判断・裁量 |
| 日本の銀行 | 三菱UFJ 第13条第4項/みずほ 第12条第3項 | 抵触のおそれがあると判断 |
4つとも「確定」を要件にしていません。疑い、不審、可能性、裁量。出金側で見たのと同じ構造が、1つ増えた形で並んでいます。
カード会社の規約に、何が書いてあって何が書いていないか
よく「カード会社の規約でFXへの入金は禁止されている」と説明されます。私が読んだ2社の規約には、そうは書いてありませんでした。
書いてあったのは、現金化の禁止です。JCBの第22条第9項は「現金を取得することを目的として商品・権利の購入または役務の提供などにカードのショッピング枠…を利用すること(以下「ショッピング枠現金化」という)はできません」と定めます。三井住友カードの第6条第3項も「現金化を目的として商品・サービスの購入…カードのショッピング枠を使用してはならず、また違法な取引に使用してはなりません」です。
もうひとつが、マネー・ローンダリングの禁止です。JCBの第11条の3は「マネー・ローンダリング、反社会的勢力(テロリストを含む。)に対して資金供与等をすること、または経済制裁関係法令その他の法令もしくは国際的な規制に抵触する行為を遂行する目的で…カードを利用してはならない」と書きます。
賭博や投機を名指しで禁じた条項は、どちらにも見当たりませんでした。見当たらないことと、存在しないことは違います。他社の規約や、カードブランドの内部規則まで読んだわけではありません。
では、なぜ通らないことがあるのか
答えは裁量条項です。禁止されているから止まるのではなく、会社が「不審だ」と判断できるから止まるという構造になっています。
JCBの第22条第7項(3)。「カードの第三者による不正利用の可能性があると当社が判断した場合、会員への事前通知なしにカード利用を保留または断る場合があります」。事前通知なし、と書いてあります。
三井住友カードはもっと直接的で、第15条に3つ並びます。「カードの利用状況が不審な場合」に一時的に断ることがある(第2項)。「不正使用の可能性があると当社が判断した場合」に保留または断ることがある(第3項)。「カードの利用状況に不審がある場合」に一時的に停止する(第4項)。
「不審」の定義は、どちらの規約にも書かれていません。ここもアービトラージの「疑い」や、銀行の「おそれ」と同じです。
ブローカー側で止まる条件
こちらは名義の話です。執筆時点で調べた20社のうち記録できた18社では、名義について書いている社はすべて本人名義以外を認めていません。第三者からの入金を明文で拒否しているのが9社ありました。
家族のカードを借りる、家族の口座から送る。これが止まる理由です。「本人確認が終わっているのに入金できない」という状況の多くは、ここだと思います。
もうひとつ、カードで入れた分はカードにしか戻らないという定めが10社にあります。入金の時点では意識しませんが、出すときに効いてきます。出金のルールに社ごとの条件を置きました。
銀行と決済業者は、出金のときと同じ条項です
ここは新しい話ではありません。入金も「外為取引」なので、出金で読んだのと同じ条項がそのまま効きます。
三菱UFJ銀行の普通預金規定第13条第4項は、制限できる取引に「外国送金、外貨預金、両替取引、貿易取引等外為取引全般」を挙げています。みずほ銀行第12条第3項も同じ構造です。方向は関係ありません。条文は銀行側で止まる条項にあります。
決済業者も同じです。bitwalletの第14条第2項は「その可能性があると判断した場合」に停止でき、STICPAYの6.1は裁量でアカウントへのアクセスを制限できると定めます。決済業者で止まる条項に読んだ条文があります。
そして2026年6月1日から、クロスボーダー収納代行が「為替取引」に該当することになりました。国内から国外への資金移動も対象なので、入金もこの改正の範囲に入ります。
入金が通らないとき、どこを疑うか
- 名義は一致しているか。ブローカー側でいちばん多い原因です
- カード会社から連絡は来ていないか。事前通知なしで保留できると規約に書いてあります
- 決済業者を経由しているか。経由していれば、そこでも止まりえます
- 銀行からの確認依頼を放置していないか。回答しないだけで制限の事由になります
- 金額や頻度が、いつもと違っていないか。「不審」の判断材料は、どの規約にも書かれていません
どこで止まっているかは、画面からは分かりません。カード会社は理由を説明する義務を負っていませんし、規約にもそう書かれていません。
このページについて
条文はJCB「会員規約(個人用)」と三井住友カード「会員規約(個人会員用)」の公開版から、2026年9月19日に取得しました。銀行と決済業者の条文は、それぞれのページに取得日を書いてあります。
ここで確認しているのは、規約に何が書いてあるかです。実際に入金できなかった人がいるかどうかは確認していません。規約は改定されるので、読み直して変更があれば直します。
出金側は出金の条件に、止まったときの読み方は「出金拒否」「詐欺」と書かれた話を、自分で確かめる方法にあります。
入金で止まる4か所のうち、ブローカー側の条件を同じ基準で見るなら、20社の比較表と4条件を満たした2社にまとめてあります。合格は「おすすめ」という意味ではありません。その理由も、そのページに書いています。