このページの結論
公開ページで「スキャルピング可」と案内している7社のうち、3社の規約に、それを禁止または拒否できる条項がありました。20社の内訳は、規約で禁止と明記が4社、裁量で拒否・制限できる条項が6社、禁止の記載が見当たらないのが9社、確認できていないのが1社です。
「スキャルピングOK」はブローカー選びの決め手になりやすい項目です。ただ、その一文が載っているのはFAQや口座タイプのページで、契約の内容を決めているのは利用規約のほうです。
20社の利用規約と顧客契約を読み、スキャルピングに関する条項を条番号つきで並べました。FAQの記載は「ブローカーがそう案内している」という事実として扱い、規約の条文と分けています。確認できなかったものは推測で埋めず、「記載が見当たらない」と書いています。
規約での扱いは4つに分かれました
| 規約での扱い | 社数 | ブローカー |
|---|---|---|
| 禁止事項として明記 | 4社 | iFOREX、Tradeview、WeTrade、IS6FX |
| 拒否・制限できる裁量条項あり | 6社 | XMTrading、TitanFX、FXGT、Vantage Trading、Land Prime、MYFX Markets |
| 禁止の記載が見当たらない | 9社 | AXIORY、BigBoss、Axi、HFM、EBC Financial Group、ThreeTrader、Exness、XS.com、Milton Markets |
| 確認できていない | 1社 | EMCTrading |
FAQと規約が食い違う3社
公開ページで「可」と案内しているのは7社でした。その7社の規約と突き合わせます。
| ブローカー | 公開ページ | 規約の側 | 一致 |
|---|---|---|---|
| IS6FX | 可 | 禁止事項として明記 | していない |
| TitanFX | 可 | 拒否・制限の裁量条項あり | していない |
| FXGT | 可 | 拒否・制限の裁量条項あり | していない |
| AXIORY | 可 | 禁止の記載なし | している |
| BigBoss | 可 | 禁止の記載なし | している |
| Axi | 可 | 禁止の記載なし | している |
| Milton Markets | 可 | 禁止の記載なし | している |
IS6FX——FAQは「制限なし」、規約は禁止行為に列挙
差がいちばん大きい形でした。FAQは「EA(自動売買プログラム)含め、スキャルピング等に制限は設けておりません」と書き、EA用のVPSを月28ドルで販売しています。
一方、利用規約 第7条は、自動売買・アルゴリズム取引ソフトの無承認使用、scalping、lag trading、サーバーレイテンシの利用、価格・時間の操作を禁止行為に挙げています。
さらに第12条には、こう書かれています。「禁止行為に該当するかどうかの判断は当社が行い、その内容と根拠を利用者に説明することを要しない」。該当するかどうかを争う手がかりが、規約の側で閉じられています。
加えて、同社8口座のうちプロゼロ口座とレバレッジ6666倍口座には「利用制限:EA利用不可」とあります。スプレッドがいちばん狭い口座と、レバレッジがいちばん高い口座です。
TitanFX——第5.10条が「適用法違反となる注文」に並べています
公式サイトのFAQは同一口座内のスキャルピングを認めています。利用規約 第5.10条は、適用法違反となる注文として「市場操作、不正取引、市場価格操作、架空取引、ブラックボックス取引、高頻度取引、スキャルピング、ウォッシュトレードまたは注文のマッチング」を列挙し、これらに関連する注文を拒否できると定めます。
スキャルピングが、相場操縦や架空取引と同じ列に置かれています。
FXGT——第2.6条はEAの使用とセットで書かれています
利用規約 第2.6条は「any attempt to abuse, hedge, or manipulate the Company’s systems…through ‘arbitrage’, ‘sniping’ or ‘scalping’…with the use of automated trading systems or」という構造で、自動売買システムを使ったスキャルピングを濫用の例として挙げています。一律禁止ではありませんが、「制限なし」とも読めません。
禁止と明記している4社の書き方
明記している側も、書き方に差があります。
WeTrade は「スキャルピングは当社の規約の重大な違反とみなされ、WeTrade は絶対的な裁量で取引の決済・差替え・反転、または口座の即時閉鎖を行うことができる」と定めます。ただし、スキャルピングの定義——保有時間や約定回数の基準——が規約に書かれていません。何分の保有から該当するのかが分からないまま、違反と判断されうる構造です。
Tradeview の顧客契約 第16条は、スキャルピングを独立した項目としてではなく、アービトラージの別名として定義しています。「インターネットの遅延や価格の誤りを利用する行為(レイテンシ・アービトラージ、別名「スキャルピング」)」。短期売買という手法の話と、遅延を突くという行為の話が、同じ語に押し込められています。
iFOREX は、顧客契約 第7.1.14項に時間差取引・サーバー遅延の利用・価格操作・時間操作と並べてスキャルピングを挙げ、取引条件ページの「許可されない取引行為」にも同じ語を載せています。同社はMT4もMT5も提供しておらず、第7.1.15項でEAの使用自体を禁止しています。文書と実態は一致しています。
「記載が見当たらない」9社のうち、はっきり書いている2社
「禁止の記載がない」は「許可されている」という意味ではありません。禁止する条項が見つからなかった、という意味です。ただし9社のうち2社は、確認の結果をはっきり書ける形でした。
- Exness——「スキャルピング」「高頻度取引」の語が、76ページの顧客契約書に一度も出てきません。語そのものが存在しない、という確認です
- HFM——「scalping」という語が、確認した範囲の顧客契約書に現れませんでした
BigBoss は公開ページで「スキャルピング手法での取引に厳しい制限は設けておりません」と書いています。AXIORY の規約 30.6 には arbitrage や high-frequency trading の列挙がありますが、scalping と sniping は列挙されていません。
XMTrading は少し違う位置づけです。利用規約 9.1.34条「Fraud Traffic」の定義に sniping・scalping・arbitrage・cash back arbitrage・interest arbitrage・churning が列挙されていますが、これはボーナスやキャンペーンの濫用の文脈で置かれた条項です。通常取引の禁止条項として読むかどうかは、条文の位置によります。
該当したとき、利益はどうなるのか
調べた20社のうち18社が、取引の無効化や利益の取消を行える条項を持っています。スキャルピングを禁止している4社は、いずれもその条項を備えています。
- iFOREX——該当の兆候または疑いがある場合、関連口座で行われたすべての取引を無効にしてキャンセル
- Tradeview——第15条・第16条に該当すると単独の裁量で判断した場合、口座の凍結・閉鎖、取引の無効化、利益の留保および回収
- WeTrade——第3.13項により、絶対的な裁量で決済・差替え・反転
- IS6FX——第12条により、該当の判断は同社が行い、根拠の説明を要しない
「疑い」で足りると書いているブローカーがあります。一方で ThreeTrader の第9.7条(b)は、無効化できるとしたうえで「顧客が30日以内に決定的な証拠を提出した場合を除く」という但し書きを置いています。反証の機会が残されているかどうかは、条文を開かないと分かりません。
確かめる順番
- 規約の禁止行為の条項を開く。「Prohibited」「Abusive Trading」「Market Abuse」といった見出しです
- 定義条項も開く。禁止行為に名指しされていなくても、「アービトラージ」の定義にスキャルピングが含まれていることがあります。Tradeviewがこの形です
- 定義の有無を見る。保有時間や約定回数の基準が書かれているか。書かれていなければ、判断は相手の裁量です
- 無効化・利益取消の条項を開く。「疑い」で足りるのか、反証の機会があるのかを確認します
この手順を5か所に整理したものが海外FXの口座を開く前に、自分で規約を確かめる方法にあります。
この比較で分かること、分からないこと
分かるのは、規約に何が書いてあるかだけです。条項が実際に運用されているか、どの程度の取引で発動するかは分かりません。禁止条項があることは、そのブローカーが危険だという意味ではありません。多くは本来の濫用行為への備えとして置かれています。
それでも並べる意味はあると考えています。「スキャルピング可」と書いてあるページと、同じブローカーの規約が違うことを書いている場合があるからです。
両建ての条項は両建ての扱い、アービトラージの定義はアービトラージの定義、3論点の一覧は禁止取引のまとめにあります。
このページの内容は、各ブローカーの利用規約・顧客契約・公開ページから取ったものです。調査基準日は各ブローカーの記事に記載しています。規約は予告なく改定されます。3か月に一度読み直し、変更があれば各記事の更新履歴に記録しています。
外国為替証拠金取引は、為替相場の変動により損失が生じるおそれがあります。レバレッジをかけた取引では、預けた証拠金を超える損失が発生する可能性もあります。本記事は調査結果と事実の記録であり、特定のブローカーでの口座開設や取引を推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
本記事に記載した内容は調査基準日時点で確認できたものです。取引条件や規約は予告なく変更される場合があるため、実際のご利用前に必ず公式サイトと利用規約の原文をご確認ください。