海外FXブローカーを執筆時点で20社、利用規約と入出金ポリシーから調べました。始める前は、ブローカーごとに違う落とし穴があるのだろうと思っていました。
実際は逆でした。公開ページと規約がずれる場所は、20社でほとんど同じでした。契約する相手、出金の条件、禁止されている取引のやり方、お金の扱い、数字が効く条件。この5か所です。
だからブローカーが変われば結論は変わりますが、確かめる手順は変わりません。このページには、私が20社に当てている手順をそのまま書きます。規約を全部読む必要はありません。開くのは4つの文書、見るのは5か所です。
| 確認すること | どの文書を見るか | 20社でずれていた例 |
|---|---|---|
| 1 契約する相手 | 顧客契約の冒頭、会社概要 | ライセンスを持つ法人と、日本居住者の契約先が別 |
| 2 出金の条件 | 入出金ポリシー、顧客契約 | 日数が公開ページにしかない/出金前に取引回数の条件 |
| 3 禁止されている手法 | 顧客契約の禁止取引条項 | 「制限なし」の案内と、注文を拒否できる条項 |
| 4 お金の扱い | 顧客契約の資金条項 | 公開ページは「分別管理」、規約は「担保と貸付」 |
| 5 数字が効く条件 | 商品仕様、顧客契約 | レバレッジが公開ページと規約で5倍違う |
まず、どの文書を開くか
根拠にするのは、会社が自ら公開している文書のうち契約上の権利義務を定めているものです。名前はブローカーによって違います。
- 利用規約・顧客契約(Client Agreement、Terms and Conditions)
- 入出金ポリシー(Deposit and Withdrawal Policy)
- ボーナス規約(受け取るつもりがあるなら)
- 会社概要・法人情報(Legal、About、Regulation)
商品ページ、FAQ、ヘルプセンターの記事は一次資料として扱いません。「ガイドライン」「規程」でも、その定めに従うことに同意する構造なら一次資料です。逆に説明のために書かれたページは、ブローカーの都合でいつでも書き換えられます。
見つからないときの探し方
規約が目立つ場所に置かれていないブローカーがあります。順に試します。
- フッターの「Legal」「法的文書」「規約」
- 口座開設フォームの同意チェックボックス。ここからしかリンクされていないブローカーがありました
ドメイン/robots.txtを開いてsitemap.xmlの場所を確かめ、URLを一覧する- 日本語ページと英語ページの両方。日本語版だけ古い、という例があります
同意書へのリンクが置いてあるのに、その飛び先が空だったブローカーもありました(EMCTrading)。あるはずのものが無いこともあります。
確認1:契約する相手は、どこの国の、どのブローカーか
公式サイトに並んでいる当局の名前と、自分が実際に契約する法人は、別のことがあります。ここがずれていると、何かあったときにどの国の制度が使えるかが変わります。
見る場所は、顧客契約のいちばん最初です。「本契約は◯◯社と利用者の間で締結される」という一文が、たいてい第1条か前文にあります。会社概要のページではありません。
20社では、こういうずれがありました。
- ライセンスを持つ法人と、日本居住者の契約先が別。英国の当局を掲げている一方、日本の標準口座の契約先はカリブ海の法人でした(EBC Financial Group)
- 会社概要に載っているのはブランドの所有会社で、規約の契約相手は別の国の別会社(BigBoss)
- 顧客契約とボーナス規約で、契約先の国が違う(Vantage Trading)
- 顧客契約が2本あり、どちらと契約するのか決まらない(MYFX Markets)
ライセンス番号として掲げられている数字が、実は会社の登記番号だったこともあります。番号は当局の登録簿で引けます。引けなければ、それはライセンス番号ではありません。
確認2:出金の条件は、規約に書いてあるか
出金日数を書いているブローカーは多いのですが、それが公開ページにしかない場合があります。公開ページの案内は、規約と違ってブローカーの都合でいつでも書き換えられます。
見るのは日数だけではありません。出金の前提条件です。取引回数、必要書類、入金した方法との対応。ここに条件が置かれていることがあります。
- 「いつでも出金できます」の裏で、規約が出金前に10回の取引を求めていた(Milton Markets)
- 「出金手数料なし」と書いてあるが、規約は50ドル未満の出金に25ドルを置いている(Axi)
- 「追加の手数料なし」なのに、規約には休眠口座手数料(HFM)
- 日数がどこにも見つからない。執筆時点で調べた20社のうち2社がこれでした(iFOREX、MYFX Markets)
20社のうち、出金日数を規約側に書いていたのは5社でした。残りはFAQや入出金の案内ページにだけ書いています。
確認3:自分のやり方が、禁止されていないか
スキャルピング、両建て、アービトラージ、EA(自動売買)。このうち自分がやるものが、規約でどう扱われているかを見ます。
ここで大事なのは、名指しされているかどうかより、ブローカーが何をできると書いてあるかです。「禁止」と書かれていなくても、注文を拒否できる、約定済みの取引を取り消せる、という条項があれば結果は同じになります。
- 「取引手法の制限なし」と案内しながら、規約はスキャルピング関連の注文を拒否できる(TitanFX)
- EA可の案内と、規約の「事前承認が必要」が食い違う(IS6FX)
- そもそもEAが禁止されている。規約の条項がはっきり自動売買を禁じていました(iFOREX)
- 最大1000倍と掲げながら、「過大なレバレッジ」の基準が規約にない(ThreeTrader)
口座をまたいだ両建てや、他社の口座まで判断材料に含める条項を持つブローカーもあります。複数口座を使うつもりなら、ここも見ておく価値があります。
確認4:自分のお金は、どう扱われると書いてあるか
「分別管理」「信託保全」という言葉は、公開ページではよく使われます。同じ言葉が規約にもあるかどうかは、別の話です。
分別管理とは、顧客から預かった資金を会社自身の資金と分けて管理することです。信託保全は、顧客資金を信託銀行などに預けて会社の資産と切り離す仕組みで、分別管理とは別のものです。分別管理していることは、信託保全されていることを意味しません。
探すのは顧客資金に関する条項です。会社の資産と分けて保管すると書いてあるか。その資金をブローカーが使える条項が、別の場所に置かれていないか。
ゼロカットも同じです。「提供する」と「ブローカーの裁量であり保証しない」が、同じ条項の中に並んでいることがあります。片方だけを読むと、逆の結論になります。
確認5:その数字は、どの条件で効くか
レバレッジ、コントラクトサイズ(契約サイズ)、スプレッド。数字そのものより、いつ・いくらまで・どの口座でその数字が効くのかを見ます。
特にゴールドは、FXの「最大◯倍」と別枠になっていることが多い項目です。保有ポジションのロット数、口座の純資産、時間帯、口座タイプ。どれかで段階が変わります。
- ゴールドの1:2000が効くのは、最初の2ロットまで(XS.com)
- 金のレバレッジが、公開ページと規約で5倍違う(WeTrade)
- 条件の数字は細かいのに、ゴールドのコントラクトサイズが公開されていない(Land Prime)
1ロットが何オンスかを公開していたのは、執筆時点で調べた20社のうち10社。単位まで書いていたのは4社でした。コントラクトサイズが分からなければ、スプレッドの数字が金額でいくらになるかは口座を開くまで計算できません。
コントラクトサイズ・トロイオンス・pips・スワップといった語が、20社でどう食い違っていたかはゴールドの取引条件を読むための用語にまとめました。
見つからなかったとき、どう書くか
ここが手順のなかでいちばん間違えやすいところです。「確認できなかった」と「存在しない」は、別のことです。
私も一度やりました。規約ページが無いと判断しかけたブローカーが、実は登録フォームのチェックボックスからだけリンクされていた、ということがあります。否定を書くほうが、肯定を書くよりずっと手間がかかります。
だから「無い」と結論する前に、サイトマップの全URLを見て、フッターと登録フォームまで開きます。それでも出てこなければ、「記載が見当たりません」と書きます。「存在しません」とは書きません。
金融庁の一覧をどう読むか
金融庁が公表しているのは「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」という一覧です。これは無登録営業についての行政上の警告で、取引条件の評価ではありません。
読むときに気をつけることが2つあります。
- 掲載は違法性の確定でも、詐欺の認定でもありません。「警告された=出金できない」ではありません
- 警告書の商号や所在地が、現在の規約の法人名と一致しないことがあります。金融庁自身が「関係性は不明」と書いている場合もあります。一致しない以上、同一法人とは書けません
私はこの一覧の掲載有無を全社に書いていますが、足切りの条件には入れていません。理由は上の2つです。
この5つを20社に当てた結果
同じ手順を、ブローカーごとに緩めたり厳しくしたりせずに当てました。基準は調べ始める前に決めて公開しています。
結果は20社の比較にまとめてあります。判定の根拠と配点は調査方針と足切り基準に書きました。ゴールドの取引条件だけを横に並べたものは20社のゴールド比較にあります。
各ブローカーの記事には条項番号を添えてあります。私の要約を信じてもらうためではなく、読んだ人が原文に戻れるようにするためです。
このページについて
ここに書いたのは、私が実際に20社へ当てている手順です。規約は書き換えられるので、確認した日付を自分で控えておくことを勧めます。私は3か月ごとに読み直し、変わっていれば記事を直して更新履歴に残しています。
手順そのものに抜けを見つけたら、問い合わせから教えてください。直します。
外国為替証拠金取引は、為替相場の変動により損失が生じるおそれがあります。レバレッジをかけた取引では、預けた証拠金を超える損失が発生する可能性もあります。本記事は調査結果と事実の記録であり、特定のブローカーでの口座開設や取引を推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
本記事に記載した内容は調査基準日時点で確認できたものです。取引条件や規約は予告なく変更される場合があるため、実際のご利用前に必ず公式サイトと利用規約の原文をご確認ください。